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» 2005年06月07日 17時24分 UPDATE

MSとLinuxの緊張緩和へ――“建設的な対話”が始まる

MicrosoftがOSI会長に会談を持ち掛けた。ソース共有型プロジェクトの拡大、ライセンスの見直しなど、Microsoftのオープンソースコミュニティーへの歩み寄りが進んでいる。

[Peter Galli & Mary Jo Foley,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftとオープンソースコミュニティーのしばしば敵対的な関係が、雪解けへと向かっており、両陣営の要人間で新たな対話が始まろうとしているようだ。

 Microsoftは、オープンソースコミュニティーの重鎮への接触を続けている。同社はその一環として、Open Source Initiative(OSI)会長で、LinuxベンダーRed Hatのオープンソース問題担当副社長、マイケル・ティーマン氏に、建設的な対話を始めようと会談を申し入れた。

 「MicrosoftがOSIの会長である私に接触してきた。同社は基本的に、生産的な会話を始めたいとしており、われわれは、この言葉を額面どおり受け入れることに同意した」。ティーマン氏は米ニューオーリンズで開催のRed Hat Summitで6月2日、eWEEKのインタビューに答えてそう説明した。

 ティーマン氏はまだMicrosoft幹部と会っていないが、会談の相手はMicrosoft法務担当責任者のブラッド・スミス氏になる可能性が最も高い。両者は電子メールを交換しており、話し合いは実現しそうだ。

 スミス氏は今年、オープンソースコミュニティーに和解を提案している。両者でもっと協力できる道を探ろうと、話し合いを持ち掛けたものだ。

 ティーマン氏は、なぜMicrosoftが同氏に会いたがり、何を話し合うつもりだと思うかとの問いに、Microsoftのシェアードソースの取り組みは、Microsoft社内で起きている「内紛を鎮める」ための策だという自分の考えは変わっていない、と答えた。

 「Microsoftの中に、この論争において、別の見方があることを理解している賢明な人たちがいる」とティーマン氏。

 同氏が2001年、Microsoftの最高技術責任者クレイグ・マンディー氏との論争で、初めてこの見方を口にした際のマンディー氏の反応は、「Microsoftには内紛などない」というものだった。

 ティーマン氏は、Microsoftで内紛が続いていようがいまいが、「Microsoftが新たな姿勢と視点を持とうとしているのであれば、喜ばしいことだ。Microsoftにとって、公正な競争を支持し、不出来な過去の慣行を捨てることは、この上ない得策だ」としている。

 コミュニティー内にはいまだに、Microsoftを何が何でも排除すべき敵と見なしている人もいるのではとの指摘に、ティーマン氏は次のように答えている。「それでは、過ちの代償は何か? 支払えない代償もあれば、『やれやれ、これも勉強代だ』ということもある。だが、やってみなければ何も分からない」

 Microsoftのティーマン氏へのアプローチは、同社が今年Red Hatのマット・ズーリックCEOに対して行った働き掛けに続くもの。ズーリック氏は、マンハッタンでMicrosoftのスティーブ・バルマーCEOと夕食をともにしたと報じられている。

 Microsoftの幹部数人がeWEEKに対してこれを事実と認めたが、ズーリック氏本人は認めていない。しかしeWEEKが同氏に、Microsoftのようなライバルとの会談を検討するとしたらその理由は何かと問い掛けたところ、同氏は、「両社共通の顧客がいる」という事実が「明らかな理由になる」と答えた。

 「そこには、Linuxとオープンソースソフトが確固たる地位を築き、もはや消えてなくなることはないとの認識も関係しているだろう。取引に向けた話し合いの第1段階ということも考えられる」と同氏。

 ズーリック氏はさらに、(「Red Hat Linuxはプロプライエタリだ」とする)Sun Microsystemsのジョナサン・シュワルツ社長のようにレトリックでごまかしたりせず、話し合いに参加することが、Red Hatの取るべき最良の道と考えていると付け加えた。

 「顧客は誰も、気にもとめないだろう。顧客は、その日のうちに解決し、対処しなければならない現実の問題を抱えているからだ。ああしたたぐいのごまかしは、必要ないし、求められてもいない」(ズーリック氏)

 Microsoftのプラットフォーム戦略担当ジェネラルマネジャー、マーティン・テイラー氏は6月2日、同社のティーマン氏へのアプローチについて、自分は何も知らないとeWEEKに語った。だがアプローチを掛けているとしても「驚きではない」としている。

 「当社は多くの時間を割いて、業界内の企業多数と対話の機会を持とうとしている。これは決して特別なことではない」(テイラー氏)

 Robert Francis Groupのアナリスト、ステーシー・カント氏がeWEEKに指摘したところでは、オープンソースコミュニティーの要人に接触しようというMicrosoftの最近の動きは、単独では存在できないと同社が気付いたことを物語っている。

 「Microsoft幹部らはまた、相互運用性の確保が最優先課題だと公言している。こうした接触の試みは、その延長線上にあるものだ。MicrosoftはいまやSun Microsystemsとも協調関係にあり、より大きなコミュニティーに参加する必要性を理解している」(カント氏)

 カント氏は、Microsoftのこうした友好的なアプローチが、大口顧客からの意見に動かされてのものであることは疑いようがないとし、またWindowsとLinuxが最も急成長している2大OSだという事実も重要な役割を演じていると付け加えた。

 Microsoftの幹部ら自身、オープンソースプロジェクトを増やす意向をほのめかしている。実際、Microsoft Shared Sourceプログラムのディレクター、ジェイソン・マツソー氏は最近、自身のブログで、世間に知られていないMicrosoftのさまざまなシェアードソース/オープンソースプロジェクトを一覧できるようにする取り組みを開始した。

 Microsoft幹部らの推定では、この手のMicrosoftのプロジェクトは、ネット上のあちこちに数百と散在している。プロジェクトの一部は、オープンソースコードのリポジトリ、SourceForgeのMicrosoft版であるGotDotNet Workspacesに掲載されている。また、Microsoft社員が勤務時間外に進めるプライベートなプロジェクトもある。

 そのほかに、社員を新たに雇うことでMicrosoftのものになったプロジェクトもある。例えば、プログラム言語Pythonの.NET対応版であるIronPython。Microsoftはその開発者のジム・フグニン氏を雇い入れている。

 マツソー氏は最近、Microsoftはこの手の隠れたシェアードソース/オープンソースプロジェクトに今後さらに光を当てていくことになるだろうと語った。同時に、Microsoftがライセンス簡易化の取り組みに成功すれば、同社からさらに多くの新しいシェアードソース/オープンソースプロジェクトが大量に生まれるだろうとしている。

 ライセンスが簡易化されれば、Microsoftの社員はシェアードソースもしくはオープンソースのライセンスを、今より迅速かつ簡単に探し出し、新規プロジェクトの立ち上げに利用できるようになるという。Microsoftはこうしたライセンスを、テンプレート化して利用できるようにしたい考えだとマツソー氏は説明した。

 マツソー氏は、テンプレートをいつリリースするのか、その日程は明確にしなかったが、この分野は「向こう10カ月のうちに」非常に面白くなってくるだろうと語った。

 Microsoftの言う「シェアードソース」の領域は広い――正確には17種のコード共有プログラムが含まれる。

 Microsoftの「Shared Source Initiative」には、正真正銘のオープンソースライセンスで提供されている3つの製品(WiXFlexWiki、Active Template Library)のソースコードから、政府機関向けのソースコード開示プログラムに至る、あらゆるものが含まれる。この春、Microsoftはシェアードソースの取り組みを中央ヨーロッパと東欧の7カ国にも拡大した。

 Microsoftのシェアードソースプロジェクトは、実際には、同社のシェアードソースのページで脚光を浴びているもの以外にも存在する。MicrosoftのVisual Studioコミュニティーチームのプログラムマネジャー、ジョシュ・レッドガード氏は先に、自身のブログで世間にあまり知られていないMicrosoftのソース共有型プロジェクトを幾つか紹介している。

 レッドガード氏がスポットを当てたこの手のプロジェクトには、次のようなものがある。

 レッドガード氏の考えでは、「インターネット上のあちこちにまだ、Microsoft社員提供の、サンプルの域を超えたプロジェクトがごまんと存在している。だがそれらは見つけ出すのが難しい」。

 同氏は同僚に、Microsoftの宿敵Googleが今年、オープンソース開発者向けのツールを1つのサイトにまとめたように、自分たちのシェアードソースとオープンソースのプロジェクトを、もっと探しやすくしようと呼び掛けた。

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