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MRAM実用化へ新技術相次ぐ

» 2005年06月17日 18時49分 公開
[ITmedia]

 6月16日まで開かれた「2005 Symposium on VLSI Technology」(京都市)で、次世代不揮発性メモリ・MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory:磁気メモリ)の実用化につながる新技術の発表が相次いだ。MRAMは、フラッシュメモリと同様に電源を切ってもデータを保持できる上、読み書きがSRAM並に高速なのが特徴だ。

 富士通研は、MRAM混載メモリの大容量化につながる新しい回路方式を発表した。記憶素子(磁気トンネル接合素子、MTJ素子)のばらつきの影響を受けにくくし、LSIに混載した場合にMRAM部分を大容量化しても、LSIの歩留まり低下を抑えることができるという。

 ロジックLSIのキャッシュメモリなどとして、SRAMを混載するケースが多い。ただSRAMはメモリセルの素子数が大きいため、容量を増やすとチップ全体の面積が増えてしまう。またSRAMの記憶を保持するために消費電力も増大する課題があった。MRAMはSRAMよりメモリセルを小さくできる上、不揮発性なので待機電力の問題も解消できる。

 NECと東芝が発表したのは、MRAMの大容量化に適したメモリセル技術。記録層を多層化したMTJ素子を持つMRAMセルを開発し、従来より書き込みマージンを5倍以上広くした。

 両社は2002年からMRAMの共同開発を進めており、昨年12月にも大容量化技術を発表している(関連記事参照)

本年度は250ナノメートルプロセスのMTJ素子作成技術と130ナノメートルのCMOSプロセスを使い、256MビットMRAMに必要な基盤技術の確立を目指している。

 MRAMは、HDDの読み出しヘッドに使われている磁性体材料を使う不揮発性の半導体メモリ。高速な読み書き速度や、書き換え耐性が無限といった特徴があり、米IBMや米Freescale、独Infineonら海外勢も開発を急いでいる。大容量品が実用化されれば、OSが一瞬で起動するPCなども可能になるとされる。

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