韓国内のネットコミュニティー市場飽和を背景に、韓国系企業による国内ソーシャルネットワーキングサイト(SNS)参入が相次いでいる。5月にSNS「アイピ」正式版を開始したネクソンジャパン企画部の朴世鎔部長は「2006年、日本でコミュニティーサービスが爆発的に普及する」と予測。それまでにサービスのベースを築いておきたいと話す。
韓国系企業のSNS参入は、今年から目立ち始めた。1月にはNeoWiz Japanが「JOCOSO」をスタート。6月にはNHN Japanの「Naverブログ」がSNS「CURURU」に衣替えし、SKコミュニケーションズジャパンが「Cyworld」の日本語β版をスタートさせた。
韓国内のSNSは現在、1200万ユーザー(全人口の4分の1)をかかえるCyworldの一人勝ちだ(関連記事参照)。ミニホームページサービスを中心にしたコミュニティーも飽和状態にあり、新規参入の余地はほとんどないという。韓国のネット企業にとって「IT系サービスの市場規模が韓国の10倍と言われている」(朴部長)日本は、肥沃で未開拓な土地に映る。
韓国のネット企業が日本に目をつけたのは、今回が初めてではない。2000年ごろから、ネットゲームやアバターサービスなどで続々と日本参入してきている。しかし本国ほどの爆発的普及には至らなかった。ブロードバンドを前提としたリッチコンテンツが多く、当時の日本のインフラが追いついていなかったことがその原因だと朴部長は分析する。
ここ数年で事情は変わった。日本のブロードバンドの人口普及率は4割近くに伸び、リッチコンテンツを受け入れる市場が整ってきた。「来年がショータイム」――朴部長は、ブロードバンド普及率が5割を超える来年、コミュニティーサービスやネットゲームが爆発的に普及すると予測。それまでにサービスのベースを築いておきたいと狙いを語る。
アイピがターゲットにすえるのは、20代前半の若い女性。コミュニケーション欲求が強いこの層を取り込み、コミュニティーを活性化させる狙いだ。
若い女性は、同社が今後韓国から移植する予定の「カジュアルゲーム」のターゲット層とも重なる。カジュアルゲームとは、ライトゲームと本格MMORPGの中間に位置する分野。韓国ネクソンの得意分野だが、日本ではまだ市場が立ち上がっていない。「アイピと一緒にカジュアルゲームを成長させたい」
現在、テレビCMを放映するなどしてアイピを積極的にPR中だ。女性誌「Cancam」の人気モデル・蛯原友里さんを起用し、若い女性への認知を高める。
国内SNSは、80万ユーザーをかかえる「mixi」一人勝ちの様相が続いている。アイピは、多様な「自己表現」機能を武器に、mixiとは一味違ったコミュニティーを醸成。新たなユーザーを開拓する構えだ。
トップページには、ユーザーそれぞれが「ミニルーム」を5種類まで作成でき、アバターを配置できる。ミニルームには家具やアイテムを自由に配置可能。「理想の部屋を作って個性を表現できる」と朴部長はアピールする。アバターアイテムや家具は、数十円から数百円で販売しており、友人にプレゼントすることもできる。
ミニルームにはBGMも流せる。選べる曲は700種類以上。ラインアップは順次拡張する計画で、有料化も予定している。ネット環境さえあれば好きな曲をどこからでも聞ける仕組みにし、音楽ストレージとしても活用してもらう狙いだ。
日記やフォトアルバムは容量無制限にし、長く使ってもらえるよう配慮した。ネクソンIDを持っていれば無料で誰でも参加可能。友人からの招待も不要だ。
ネクソンIDユーザーの獲得目標は、2007年までに2000万人以上。このうち半数以上がアイピを利用すると想定している。現在の130万人から考えると膨大な数に聞こえるが、「ハンゲームが1200万ユーザーいることを考えるとそれほどの数ではない」
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