普通は午前2時にロンドンの携帯電話ネットワークがダウンするようなことはない。責めるべきは爆破テロだ。それと、もちろんコーデックに頼ってしまうわたしたちの欲求だ。
わたしの家族は掲示板を頼りにしている。こうした連絡にはQuicktopic.comを心からお勧めする。無料だし、わたしの母でも使えるし、スパムもほとんどない。
皆が同じURLにアクセスして、毎日の知らせを掲示する。わたしがこのサービスの運営者に実現してもらえていない唯一の要望は、電話からのアクセスをもっと簡単にすることだけだ。
爆破テロが起きたとき、わたしはロンドンにいる家族全員の居場所を伝え、安心させる短いメッセージを掲示した。それでも母は確認の電話をせずにはいられなかった。「でも、みんな大丈夫だって掲示板に書いたじゃないか」
母は、わたしたちの声を聞かないと安心できないと説明した。実際、彼女はもう少しでこう言うところだった。「それじゃダメなの。こんな文字のメッセージシステムでは。電話を使うべきなのよ。神がわたしたちにそうさせようとしているように」
母だけではない。
もしも米国人やオーストラリア人がもっと統計の感覚を持っていたら問題なかったのだろうが、残念なことに、実際のところ人は200を大きく超える数を扱いきれないのではないかと思う。
わたしはテロの翌日、とんでもない時間にバンクーバーとサンフランシスコの友人から起こされた。彼らはようやくその時間に自宅に帰り、テレビを付けたのだ。
「なんてことだ! あいつは無事なのか!」――そして電話がつながらなかったため、彼らは当然、わたしの家ががれきの山になっていると思ったのだ。
しかし彼らの電話がつながらなかったのは、ロンドンに5万人のオーストラリア人が住んでおり、彼らがそれぞれ何人かの親戚を持ち、さらにおそらくその3倍の数の米国人が住み、それぞれが数人の親戚を持っていたからだ。その上、カナダ西部の人口の半分がそれぞれ英国人のいとこか友人を持っているかもしれない。
電話ネットワークは午前5時頃には安定したが、そのころには携帯電話が鳴り始めた。
統計によると、3日に1人の英国人女性が嫉妬深い恋人の手で殺害されているという。はたして米国人は英国の友人が殺されていないか、あるいは誰かを殺していないかを確かめるために3日おきに電話しているだろうか?
非常におおざっぱに言うと、ロンドンの人口は、英国で1ポンドのインスタントくじを買う人の数と同じくらいだ。わたしが一発当てたかどうか、毎週水曜日と土曜日に電話をかけて確かめようとする人がいるだろうか?
なぜなのだろうか? 確率は同じくらいなのに!
先週、わたしの友人2人が亡くなった。1人は(家族が心配していた)薬物の過剰摂取が原因だった。もう1人は、キッチンの床に倒れて死んでいるところを、帰宅した妻に発見された。
どちらの友人も爆破テロが起きた時には生きていなかった。実際、皆さんの友人が今にも「自然な理由で」亡くなる可能性は高いのだ――「自然な理由」に交通事故を含めれば。
結果として、人はありそうもないセキュリティリスクに対してパラノイアになり、ちょっとしたことでビジネスを破壊してしまいかねない危機を軽率にも無視してしまう。
来月、わたしは確実に小さな街のセキュリティコンサルタントがニュースの見出しを飾るきっかけとなった2件の「Bluetoothエクスプロイト」の記事を書かなくてはならない。
それから幾つかセミナーに行って、無防備なWi-Fiネットワークがどれだけあるか、企業の駐車場に車を止めてスヌーピングするのがいかに簡単かに関する記事(世界中に配信される)を書くことも約束する。
さらに、誰かがあなたの会社の情報を手に入れたいと思った場合、唯一の防御策はすべての記録を破棄することだ。誰かが何かを知っているのなら、それをほかの人に言うだろう。それを聞いた人は、またそれをほかの誰かに言うだろう。
それを秘密にしておくための唯一の頼み希望は、その情報がわざわざ人に言う気もなくなるほどつまらないものになることだ。しかし最近のイスラエルの産業スパイスキャンダルのように、狙いを絞ったスヌーピングはうまくいくだろうし、実際に成功している。
鍵に勝るセキュリティシステムはない。だが、誰かが鍵をあげてしまうと、このシステムは安全でなくなる。
無線ネットワークを真に保護したいのなら、光彩スキャンによる身元確認でもダメだ。
もし光彩スキャンが重要なら、悪党は使える光彩の持ち主を誘拐して、その人にセキュリティを解除させるだろう。銀行強盗が世界中のどこかで週に1回、銀行員の妻を誘拐して、その銀行員に「普段通りにしろ、そうすれば人質に手は出さない」と指示しているように。
それでもいいこともある。わたしは文字通り何年も連絡のなかった古い友人からたくさん電話をもらった。深夜でなければ、喜んで話をしたのだが。
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