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野球とITの融合で何が変わる?(1/2 ページ)

» 2005年09月12日 08時00分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

 「ソフトバンクがITを使うのは当たり前。ただ、“ITをやる”ことが目的ではない。ITを使って、野球の新しい楽しみ方を提案していくことが目的」

 そう話すのは、福岡ソフトバンクホークスマーケティング企画本部の藤平大輔氏だ。ソフトバンクグループでは、今年の1月に球団経営に着手して以来、ITを使ったさまざまな試みをしている。野球の世界にITを持ち込むことで、何を目指し、何が変わるのか? 福岡ソフトバンクホークスマーケティング企画本部に聞いた。

福岡ソフトバンクホークスマーケティング企画本部の藤平大輔氏(右)と和田凡央氏(左)

30台のカメラで試合をネット生中継

 1つ目の試みは、ソフトバンクホークスの主催試合をインターネットでライブ中継する試み「BaseballBroadbandTV」。BaseballBroadbandTVには2種類あり、CS放送をそのままネットで流すもの(専用アプリケーションをインストールすれば誰でも視聴可能)のほか、Yahoo!BBの会員向けに、会員専用のコンテンツを用意している。

 会員専用コンテンツの目玉は、ヤフードームの各所に設置された全30台のカメラを使った中継。ユーザーは、カメラを切り替えながら好きな試合で試合を観戦できる。現在、1試合あたり約5万のアクセスがあるという。

左側中段にあるのが30台カメラの映像。サムネイルが並んでゆっくりとスクロールするので、好きなカメラの画像を選んで観戦できる。このほか、投票機能(右上)、チャット機能(右下)も

ファンクラブの年会費をオークションで決める

 2つ目は「Yahoo!オークション」を利用した、ファンサービスである。ソフトバンクホークスの公式ファンクラブ「クラブホークス」は、メルマガを受信できるフリー会員から始まり、ジュニア会員(年会費1500円)、スタンダード会員(年会費3700円)、ゴールド会員(年会費3万円)、プラチナ会員(2000人限定、年会費15万円)、ダイヤモンド会員(50人限定)と、6つのプランに分けられている。

 2005年4月には、この中で最も特典が多い、ダイヤモンド会員の年会費をYahoo!オークションにかけ、ファンクラブの年会費をオークションで決める、という企画を行った。最高落札価格は30万2007円。

 オークションを利用した試みにはもう1つ面白いものがある。ヤフードーム内にあるVIPルーム「スーパーボックス」の一部を改装。人気選手にちなんだアイテムが並ぶ個室「プレイヤーズルーム」を作り、その利用料をYahoo!オークションで落札・販売するということも行っている。

プレイヤーズルームの1つ、「松中ル−ム」

 スーパーボックスは年間契約で、価格帯は900万〜1900万円程度。この手のVIPルームはどこでもあるが、企業などが通年で借りるもので、個人に開放されることはまずなかったものだ。

 プレイヤーズルームがあるのは、松中信彦、城島健司、川崎宗則などの5選手。ユニフォームやバット、グローブなど選手のサイン入りグッズやポスターが並ぶ部屋で野球を観られるという珍しい企画だ。プレイヤーズルームの定員は8名で、Yahoo!オークションで平均8万円程度で落札されており、「ディナー付きのプランなどもある。女性ファンに人気があり、リピーター率はかなり高い」(ソフトバンクホークスマーケティング)という。

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