3つ目の試みは、試合中継映像をFOMA端末に動画で配信する「ケーチャン!ホークス」(9月6日の記事参照)。4つ目が、iモードFeliCa携帯を利用したチケット発券サービス「ホークスICチケット」だ(9月6日の記事参照)。
ケーチャン!ホークスやホークスICチケットのような、携帯を利用したサービスは新しい流れだ。藤平氏はその理由を「(プロ野球)球団のファンクラブというと、普通は30〜40代の男性が中心だが、ソフトバンクホークスの場合、それに加えて10代〜30代の女性が目立って多いのが特徴。若い女性ファンが多いこともあって、携帯を使ったサービスにも力を入れている。実際、ファンクラブ会員数を見ても、今年はF1層(注:20〜34歳の女性)が増えている」と説明する。
「野球とIT」ともう1つ、藤平氏が強調していたキーワードが「放送と通信」だ。
「試合中継のネット配信をしてみて分かったのは『テレビ中継とネット配信は競合しない』ということ。テレビ放送開始前と放送終了直後には、(ネット中継の)トラフィックがドンと上がる。テレビ放送とネット配信は決して競合しない、むしろ補完関係にあるものだと分かった」(和田氏)
ソフトバンクホークスと福岡のラジオ局であるRKBラジオと共同制作している「RKBやじうま放送」は、8月31日から始まった新コンテンツだ。ホークスファンであるラジオのパーソナリティが、BaseballBroadbandTVのチャット画面を見ながらトークをする、という内容で、BaseballBroadbandTVから視聴できる。
これも、放送と通信が競合しないからこそできるコンテンツだと藤平氏は説明する。「新サービスの告知をしていただくなど、地元の放送局との関係はとても良好。通信が放送に敵対するものではない、むしろ相乗効果があるものだということを、とてもよく理解してもらっているからできる」
ネットで試合中継、Yahoo!オークションでファン向けの特典を販売、携帯を使った動画配信・チケット発券……これらの試みはすべて、あるミッションを実現するための同一線上にあると藤平氏は話す。
「我々のミッションは、野球とITを融合すること。野球の業界は、IT業界と比べて少し体質的に古い部分があり、権利構造なども難しい。ソフトバンクというITの会社が球団を運営することにより、既存(の球界)にはなかった新しい楽しみ方、見せ方を提案していく。“新しい野球のビジネスの仕方”を、トライ&エラーしている状況」(藤平氏)
実際、ホークスファンは着実に増えてきている。昨年7万人だったファンクラブ会員(無料登録会員を含む)は、今年20万人を突破した。また、今年から始めたメルマガ会員も、8万5000人を超えている。チームの成績が好調という理由ももちろんあるが、「これまで球界にはなかった、新しい楽しみ方の提案」は少しずつ実を結んできていると言えそうだ。
他チームとの差別化のためではなく、これらの試みがいいと思ったら他の球団でもどんどん導入してほしいという。「ウチだけがやるのではダメ。ウチが率先してやることで、他のチームにも広がっていくことを目指している。例えば30台カメラ中継などもそうだ。現在はヤフードームでの試合しかできないが、他球団も導入してくれれば、ホーム試合以外でも中継できるようになり、結果、ファンにとってのメリットになる」(藤平氏)
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