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Symantec CEO、「MSのセキュリティ参入に苦情」報道を否定

» 2005年10月12日 17時40分 公開
[IDG Japan]
IDG

 Symantecのジョン・トンプソンCEO(最高経営責任者)は10月11日、同社が、欧州委員会がMicrosoftを独禁法違反で調査する可能性をもたらす第一歩を踏み出したとの報道を否定した。同氏はこの日Commonwealth Clubでの講演で、両社の関係は「相互依存的」だと語った。

 「当社にはWindows環境のユーザーが数千万人いる。われわれはWindows体験をセキュアにしており、われわれとMicrosoftの間には相互依存の関係がある」(同氏)

 10月6日にDow Jones Newswiresは、Symantecが欧州委員会にMicrosoftに対する「非公式の」苦情書を提出し、これが独禁法に基づく調査につながる可能性があると報じた。欧州委員会は欧州連合(EU)の執行部門で、昨年には独禁法に基づく5年間の調査の末に、Microsoftに4億9700万ユーロの罰金支払いと、Windows Media PlayerなしのWindowsの出荷を命じた。

 講演後の取材で、トンプソン氏はSymantecが欧州委員会に書類を提出したことを認めたものの、報道は否定し、「われわれは何の調査にも関与していない」と語った。

 「われわれはMicrosoftと提携している。想像をふくらませて、彼らを法廷へ連れて行こうとするようなことはしない」(同氏)

 欧州委員会にコメントを求めたが、11日夜の時点では返答は得られていない。

 Microsoftが抱える独禁法訴訟の重荷は次第に減ってきており、11日に発表した米国でのRealNetworksとの7億6100万ドルでの和解によりいっそう軽くなった。RealNetworksはこれまで欧州委員会の調査において大きな役割を演じてきた企業であり、この和解は米国における最後の大規模な対Microsoft民事独禁法訴訟を終わらせた。

 Microsoftは先週、企業ユーザーに統合型ウイルス・スパイウェア対策製品「Microsoft Client Protection」を提供する計画を発表した(10月7日の記事参照)。この製品のβ版は年内にリリースされる予定だ。同社は既に、コンシューマー向けセキュリティソフト「Windows OneCare」のβ版を一部顧客に提供している。

 今やMicrosoftのセキュリティソフト市場への本格参入は「必至」だが、同社がこの市場に定着したSymantecを押し出すのは必ずしも容易ではないだろうとトンプソン氏はCommonwealth Clubで聴衆に向けて語った。「彼らの市場参入に成功が約束されているとも思わない」

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