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Palm CEO、Palm OS搭載製品のリリース継続を改めて約束

» 2005年11月10日 08時53分 公開
[IDG Japan]
IDG

 米Palmが計画しているスマートフォン「Treo」のWindows Mobile搭載機の投入をめぐってPalm OS開発者の間で不安が広がっていることを受け、Palmのエド・コリガン社長兼CEOは、Palmの開発者コミュニティーに宛てた書簡を書き、Palm OS搭載製品のリリースを続けることを約束した。

 IDG News Serviceが入手したこの書簡では、Palmが来年初めにWindowsベースTreoを投入した後も、Palm OSベースのPDAとスマートフォンの開発に力を注ぐことが言明されている。この書簡は、ソフト・ハード開発者向けのPalmの会員制コミュニティー「PluggedIn」のホームページに11月8日遅くか9日早くに掲載されると、Palmの広報担当者は語った。

 ハンドヘルドコンピューティング市場の草分けであるPalmは9月、同社のPDA兼携帯電話Treoの1バージョンでMicrosoftのWindows Mobileを採用すると発表した。この発表はベテランのPalm OS開発者の一部を困惑させ、掲示板やディスカッションフォーラムは、Palm OSに対するPalmの長期的なサポートが薄くなると懸念する彼らのコメントであふれていると、コリガン氏の書簡には記されている。

 「これは断じてゼロサムゲームではありません。この市場はまだ揺籃期です。ワールドクラスのスマートフォン製品の強力なクロスプラットフォームプロバイダーになることでビジネスチャンスを広げられるなら、われわれはそうすべきなのです」とコリガン氏は書いている。

 PDAの出荷が急激に落ち込む中、Palmなどの企業はTreo 600および650など、スマートフォンにリソースを注ぎ込んでいる。Palm OSベースの両Treoデバイスは消費者の人気を呼んでいるが、PalmはMicrosoftのモバイルOSを採用したTreoを投入することで、企業顧客向けビジネスでより大きな成功を収めることができると考えている。ITマネジャーは電子メールサーバのExchangeなど、既に利用中のMicrosoft製品と統合できるMicrosoftベースのモバイルデバイスを使うことを望むだろう、という発想だ。

 「世界中の大多数の企業がMicrosoftベースのインフラを使ってIT資産を利用していることは事実です。そしてそうした企業の多くは、ほかのOSを使った製品をまったく受け入れようとしません。われわれは、Windowsベースの製品でそうした市場の需要に応えるか、そのビジネスを避けて通るか、どちらかを選ぶことができるわけです」とコリガン氏は書いている。

 Palm OSの新バージョン開発はPalmの1部門だったPalmSourceが担っていたが、PalmSourceは最近ACCESSに買収された。ACCESSは、LinuxマイクロカーネルをPalm OSに実装するというPalmSourceが進めていた計画を継続する方針だ。だが、多くの開発者がこのOSの今後の行方を心配している。PalmによるMicrosoft OSの採用、長年のライセンシーだったソニーのPDA市場からの撤退、Palm OSの老朽化がその理由だ。

 こうした心配をさらにあおったのがPalm OSのスマートフォン向けバージョン「Cobalt」の失敗だ。PalmはTreoへのCobaltの採用を拒否し、代わりにPDA向けバージョン「Garnet」の旧版を選択、携帯電話機能のコードを自前で作成した。これまでのところ、Cobaltベースのスマートフォンは登場しておらず、Windows Mobileの市場シェアは拡大を続けている。

 Palmの経営陣は9月のMicrosoftとの共同記者会見で、Palm OSを搭載したTreoとPDAの新モデルのリリースを計画していると繰り返し述べた。コリガン氏は、Palmは今年、Palm OSのライセンス契約を2010年まで延長したと書簡で述べている。

 「われわれは、今後提供するPalm OSベースのハンドヘルドコンピュータ、モバイルマネジャー、Treoスマートフォンの充実した製品ロードマップを持っています」とコリガン氏は書いている。「われわれは何年もかけて3000万台以上のPalm OSベース製品を販売してきました。われわれは、これだけの強力で信頼できるユーザー基盤に背を向けるつもりはありません」

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