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航空地図が広げるヤフーのビジネス

» 2005年11月15日 17時20分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 「地図はサービスの中核」――11月14日、衛星・航空写真と連動したスクロール地図のβ版を公開したヤフー(関連記事参照)。傘下の地図企業・アルプス社が持つコンテンツを生かし、高精細な航空地図を無料で提供。グルメ情報や宿泊情報といった他サービスと連動させ、地域広告事業などの新ビジネスにつなげていく。

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 ネット地図の開発競争が加速している。米Googleは航空写真と地図を重ねられる「Google Maps」を公開。米Microsoftも、道路情報つきの詳細な航空写真が見られる「MSN Virtual Earth」を公開した。国内ではNTTレゾナントが衛星写真と地図を重ね合わせる実証実験を始めている。

 衛星・航空写真地図は、眺めるだけでも楽しい人気コンテンツ。MSNの地図サイトは、Virtual Earth公開以来ユニークユーザー数を大きく伸ばしたという(関連記事参照)。ユーザーのサイト滞在時間も長時間化する傾向にあり、地域限定広告など新ビジネスにつながる可能性も持つ。

 ヤフーは、グルメや映画、宿泊情報など、住所情報を持ち、地図と連動させられるコンテンツを数多くかかえる。地図モジュールは広く社内に公開し、さまざまなサービスと組み合わせていく考え。地図から他サービスに飛んだり、他サービスから地図に飛んできてもらったりして、サービス全体をつなぐハブの役割を担う。

アルプス社を傘下に持つ強み

 同社が1月に事業継承したアルプス社が持つ豊富な地図資産を生かし、高精細で新鮮な航空写真を提供。2種類の航空写真と衛星写真を組み合わせ、どの縮尺からも違和感なく見られるよう工夫した。ユーザーインタフェースにもアルプス社のノウハウを取り入れ、快適に操作できるようにした。

photo 地図モードから航空写真モードに切り替える際、地図がフェードアウトし、航空写真がフェードインする。アルプス社の技術を応用し、最も快適なスピードで切り替えられるよう何度も実験を繰り返した

 米Yahoo!も11月1日に航空写真地図のβ版を公開したが、今回の地図は国内ヤフーの独自開発。地図に要求される機能が、米国と日本では大きく異なるためだ。

 米国は車社会。ドライブルート検索機能、ガソリンスタンドの位置情報などのニーズが高い。一方、日本は電車で移動する人が多く、駅の出口情報や駅からの距離といった、徒歩を前提にした情報が求められる。

 ヤフーの新地図は、目的地から駅まで、徒歩の所要時間を自動で計算する機能を装備。今後は、徒歩のルート検索機能など、国内ユーザー向けに便利な機能を追加していく予定だ。

 ユーザーからの意見を積極的に取り入れ、機能を改善していく。トップページの目立つ場所に意見募集フォームを設置。意見をスピーディーに機能に反映させ、他社が追随できない質にまで高めていきたい考えだ。

photo 同社リスティング事業部地域企画室の二宮一浩さん(左)と、同事業企画室の来田宣之さん。開発陣には地図好きやAjax好きが多く、楽しんで開発しているという

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