自由民主党は、8月と11月にそれぞれ1回ずつ、ブロガーやメルマガ作者を招いた懇親会を開いた(関連記事参照)。主宰した総務委員長の世耕弘成(せこうひろしげ)参議院議員は「ブログの視点は既存のマスコミと異なる。政治報道を変える可能性がある」と期待する。
――なぜブロガーと懇親会を開こうと思ったのか
ブログがメディアとして無視できなくなってきたからだ。4月に始めた自分のブログ「世耕日記」のトラックバックを見るうち、新聞よりもしっかりした議論をするブログがあると感じた。何万人もの読者を持つブロガーもいると聞き、コンタクトを持ちたいと思っていた。
――懇親会の目的は
第1回は選挙前ということで、ブログやメルマガを書いている方に、自民党の考えや郵政民営化とは何かを伝えたかった。記者会見のつもりで臨んだ。
第2回も、自民党の見方を伝える記者会見のつもりで行ったが、参加者は「要望を伝えたい」という思いで来る人もおり、ズレが出てきた。次回はテーマを絞った議論を行うなど、軌道修正したい。
――参加ブロガーはどのように人選したのか。社長が多いように感じたが
人選は難しい。ブログのアクセス数などを基準に選んだ。第1回は、行政改革や郵政民営化について議論したかったので、ビジネスや周辺テーマを書いている人を中心に選んだ。自民党に対して優しそうな人だけを選んだのではない。
――新聞記者とブロガーの違いはどこにあると感じるか
ブロガーは、企業経営者や医者、弁護士などそれぞれの専門分野から物事を分析している。マスコミのように既成概念を前提にしていないので、いろいろな見方で、自民党のいいところ、悪いところを伝えてもらえる。
――マスコミの既成概念とは何か
マスコミの政治部は、自民党はタカ派的とか、カネに汚いなど、わりとステレオタイプな見方をする。ブロガーは、そういう見方をする人もいれば、そうでない人もいる。
例えば私がネット上の選挙運動解禁に動き始めた時、ブログでは素直に評価してくれる人がいた。既存のメディアは自民党を素直にほめてはくれない。
――ブログの影響力は、新聞に比べればまだまだ小さい
もう少しだと思っている。以前は、ストレートニュースはネットで取れても、解説は新聞の方がいいと思っていた。しかしブログには、新聞よりも分析的でいい記事が、いろんな視点から書かれている。新聞の最後の砦である分析も、ブログに取られつつある。政治部の記者に対しては「取材のあり方を考え直したほうがいい」と私は言っている。
――個人ブログ「世耕日記」の位置づけは
政治家の生の生活が見えるサイトを目指している。政治家は決して、料亭でお酒を飲んで昼間国会で居眠りしているのではなく、いろんなテーマについて駆け回っているということを伝えたい。
私が毎日何をしているかは、既存メディアでは取材対象にもならないが、ブログなら自分から発信していける。選挙戦を境に、1日あたり数百だったPVは3000程度まで増えた。
――ネット戦略といえば、民主党の得意技というイメージがあったが
自民党の方がネット関連の専門家は多い。そうでない人も多いから目立たなくなってしまっているだけ。選挙運動のネット解禁も、自民党がリーダーシップをとってやっていく。
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