大寒波が日本列島を襲う今冬。“裸より涼しい”ファン付き長袖作業着「空調服」でクールビズ業界に強烈なインパクトを与えた株式会社空調服が、ウォームビズにも対応した。電池駆動で暖かくなるベスト、その名も「ベスウォーマー」を発売したのだ。
カーボンファイバーを織り込んだ面状発熱体を、ベストの裏地のおなかと背中の部分に装備し、バッテリーの電力で温める仕組み。おなかと背中にカイロを張っているような感じで体がぽかぽか温まる。温度は5段階に切り替えられる。
電池で体を温めるという発想は珍しいが、空調服の新奇さと比べると意外と普通の商品、というのが記者の最初の感想だが――「確かに、ヒーターで体を温めるのは、それほど画期的な技術とは言えません」と空調服の市ヶ谷弘司社長は認める。
実は、ベスウォーマーは空調服と異なり、同社が開発したものではない。韓国製の製品で、同社が委託を受けて販売している。「服で人々が個別に体温調節することで、エアコン不要の社会を築き、エネルギー問題を解決する」という同社のコンセプトに合致したため、販売を決めたという。
べスウォーマーも空調服も、エアコンより消費電力がずっと少ない。べスウォーマーは1日じゅう使っても電気代は100円に満たないといい、使い捨てカイロのようにゴミも出ない。
「燃料電池などが実用化し、電池が大容量・安価になっていけば、べスウォーマーも空調服も、もっと手軽に長時間使えるようになる」――市ヶ谷社長は電池の進化とともに到達する“エアコンレス社会”の到来を夢に描く。
「洋服の素材で体温を調節するのは、限界に来ていると思う。電池で体温調節する『e-ウォームビズ』『e-クールビズ』を提唱していきたい」
べスウォーマーはすでに、空調服の顧客企業2社から注文を受けた。1社は電鉄会社で、屋外で働く駅員向け。スーツの下に身につけられるため、寒空の下でコートも着ず、制服で駅に立つ彼らにとってはありがたい商品になりそうだ。もう1社は自動車工場という。
ベスウォーマーがこうして快調に走り出す一方、空調服は壁に直面していた。
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