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「他のオファーとは価格差歴然」――フジテレビ、USENにライブドア株売却

» 2006年03月16日 20時24分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 フジテレビジョンは3月16日、同社が保有するライブドア株式1億3374万株(発行済み株式の12.74%)を、USENの宇野康秀社長に1株あたり71円、合計94億9500万円で売却すると発表した。

 都内で会見したフジテレビの日枝久会長は「オファーは他にもあったが、価格差が歴然としていた」と語り、複数の提案の中から最高額のオファーを受けたと示唆。宇野社長は「ライブドアとの業務提携をより円滑に進めるため、株式購入を決めたと語った。法人USENがライブドア株を保有する可能性は「現時点では未定」とした。

photo 日枝会長(左)と宇野社長

 日枝会長は宇野社長と旧知の仲。宇野社長から日枝会長に「株を売って欲しい」と打診があったという。交渉は今週に入って具体化。3月15日の夕方に売却を決めたという。

 同株式の帳簿価格は440億円。売却価格とは約350億円の開きがあり、フジテレビにとって大きな損失となる。フジテレビは、同株式で被った損失に関して、ライブドアに賠償を求める予定。損失を出したことに対する経営責任について日枝会長は「(ライブドアとの和解条件を探っていた)当時としてはベストな選択をした。責任はない」と述べた。

 宇野社長は、個人で購入した理由を「法人USENとして購入するには、法務・財務面で然るべき調査が必要。リスクマネジメントを考えたため」と語った。USENがライブドア株を保有する可能性については「現時点では未定」とし、「今後もう一歩踏み込んだ提携もあり得るが、その場合もいろいろな選択肢がある」と語るにとどまった。

 購入資金は、銀行からの借入金などでまかなう。フジテレビからの賠償請求のリスクを負ってまで購入する理由を問われると「ライブドア株のマーケット価格は、一定の損害や偶発債務も含んでいる」と、リスクも考慮した価格設定で問題はないとした。

 日枝会長は、ライブドアとの関係について「解消したとは思っていない。いろいろとあったが、袖振り合うも多生の縁。ライブドアの再生を信じている。USENのブロードバンド事業『GyaO』と、ライブドアのポータルはシナジー効果が高い」と期待を語り、今後、ライブドアとビジネスで協力する可能性もあるとした。

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