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» 2006年03月20日 10時21分 公開

ITは、いま:ひきこもりからIT社長に “paperboy”の軌跡 (4/4)

[岡田有花,ITmedia]
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 取引先のサーバレンタル企業が倒産した時、すべてが吹っ切れた。「もう、自分1人の会社じゃない」。ユーザーデータを別サーバに移行しながら、責任を痛感した。

 それまで断り続けてきた出資も受けることにした。いくつもあったオファーのうち、盤石なネットインフラを持つGMO(現:GMOインターネット)の出資を受け、同時に株式会社化。財務もさらに安定した。

 2004年、東京のGMOオフィス内に本社を移転。先進的なネット企業が集まる東京で、ブログサービス「JUGEM」やSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)「キヌガサ」など、新サービスを開発した。ロリポップや、ドメイン取得サービス「ムームードメイン」の安定した収益をベースに、次の基盤サービスを育てようと種をまく。

photo 東京オフィスで

 社員が自宅で作ったサービスを、自社サイトで紹介する「ペパ研」も始めた。「個人的なサービスで培ったノウハウを、社内に還元してもらえれば」。家入さんが個人で作ったWeb本棚サービス「ブクログ」も収録。緩い雰囲気のお笑いサイト「オモコロ」など人気コンテンツも生まれている。

 会社は成長を続けるが、従業員数千人の“マンモス企業”にあこがれはない。「ものを作ったり表現したりする楽しさを、支援していきたい」

 フィールドは、ネットでなくてもいいという。「これまでが、たまたまインターネットだったというだけ。自分たちが作って面白い、使って楽しいものをやりたい」。次はゲームを作ってみたいと、楽しそうに語る。

 平日は毎朝、子どもを幼稚園に送ってから出社し、土日は休んで子どもと遊ぶ。社長ブログは、2人の子どもの写真だらけ。できれば在宅勤務にし、家族とずっと一緒にいたいと思う。

――あなたにとって、ITとは? 

 「おもちゃ箱みたいな……流行りの言葉で言うと、マッシュアップとか、そういった概念に近いのかもしれませんけど、ぐにょっ!と面白いものを作れる」

 「表現の場……例えば、個展とか開いても、見てくれる人は限られた数。ネットをうまく使えば、数千人、数万人が見てくれる可能性がでてくる」

 「“虐待弁当ブログ”(高校3年生の息子に持たせる凝った弁当の写真を掲載しているブログ)で有名になったお母さんがいる。あれって、ネットをやってなければ、お母さんと息子との間でしか存在しなかった弁当。ブログでただのお母さんがスーパーお母さんになったことは、象徴的だなぁと」

 「引きこもってたころ、ぼくも詩を書いていたけど、そういうのも公開して、見てもらえるのはいいことだなと思います。見てプッと笑ったりするんだけど」

 インターネットとPCが爆発的な普及を始めて約10年。この間、万能論から悲観論まで、ITをめぐってさまざまな議論が交わされてきました。

 ITが私たちの何を変え、何が変わりつつあり、何を変えないのか。広くITにかかわる個人に焦点を当て、“ITのいま”を考えていきます。随時掲載。(特集:ITは、いま


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