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日立、HDD・液晶など改善で今期は営業増益に

» 2006年04月27日 20時44分 公開
[ITmedia]

 日立製作所が4月27日発表した2006年3月期連結決算(米国会計基準)は、営業利益が前期比8%減の2560億円にとどまった。懸案となっているHDD・液晶・薄型テレビの3事業が苦戦したのが響いた。今期は3事業の回復を軌道に乗せ、増益に転じる見通し。

 2006年3月期連結業績は、売上高が9兆4648億円(前期比5%増)、税引き前利益が2748億円(同4%増)、純利益は373億円(同28%減)。

 高機能材料部門と電力・産業システム部門が拡大し、両部門で営業益の8割を稼ぎ出した。情報通信システム部門も、ソフト/サービスでアウトソーシング事業が堅調に推移して増収増益になった。

 一方、デジタルメディア・民生機器部門は薄型テレビや白物家電の価格下落などで357億円の営業損失を計上した。

 今期連結業績予想は、売上高が9兆7000億円(前期比2%増)、営業利益が2900億円(同13%増)、税引き前純利益が2800億円(同2%増)、純利益が550億円(同47%増)。

HDD、液晶は下期に黒字転換へ

 4月に就任した古川一夫社長が建て直しを最優先課題として挙げたHDDと液晶は下期に黒字化し、薄型テレビは出荷目標を倍増する計画だ。

 HDD事業は日立グローバルストレージテクノロジーズ(日立GST)が担当し、2005年12月期業績は、売上高4965億円に対し270億円の営業赤字となった。

 今期(2006年12月期)は7〜9月期に垂直磁気記録方式(PMR)を採用した2.5インチ製品(1プラッタ80Gバイト程度)を市場投入する計画。出荷台数は前期5840万台に対し、今期は7500〜8000万台への拡大を見込む。

 通期の予想売上高6600億円に対し、上期に106億円の営業赤字を見込むが、下期には26億円の黒字に転換する見通しで、トータルでは80億円の赤字への改善を見込んでいる。

 前期の液晶事業は売上高2237億円に対し、146億円の営業赤字に。今期は携帯電話やデジカメなど中小型に絞り込み、PC向けを大幅縮小するなどの選択と集中を進める。今期の予想売上高は17%増の2240億円に対し、営業損益は上期で50億円の赤字、下期に70億円の黒字転換を果たし、トータルで20億円の赤字への改善を見込む。

 デジタルメディア・民生機器部門は、製品単価の下落に加え、薄型テレビ販売投資の増加などで大幅な赤字を計上した。今期はPDP生産能力を10月に月産20万台に引き上げるなどの設備投資や原価低減を進める。

 今期の出荷見通しはプラズマテレビが100万台、液晶テレビは50万台。前期(プラズマ48万台、液晶27万台)からほぼ倍増させる計画だ。ただ、販売投資の継続で今期も営業赤字を見込み、同部門全体では予想売上高1兆5650円(同20%増)に対し営業赤字280億円を見込んでいる。

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