ウルシステムズは7月6日、「Web2.0でビジネスに勝つ〜技術の最新動向とビジネス創出〜」と題したセミナーを開催した。Web2.0というキーワードに象徴される情報技術の最新動向を整理しながら、このトレンドが実ビジネスに与える影響などを考察した。同社によると、セミナー参加者は、インターネットを使った新規事業に興味のある企業の業務部門や経営企画部門、新規事業開発部、営業推進部門の各担当者であるという。
「インターネットが持つ真の力を引き出す Web2.0」というタイトルで講演をしたのはウルシステムズ 第2事業部 シニアコンサルタント中村正弘氏。中村氏のプレゼンテーションは、Web2.0の一般論を整理し、その本質を抽出しながら、Web2.0が企業システムの開発にどのような有効性があるのかを論じたものだった。
中村氏が要約したWeb2.0の本質は「集合知を利用して競争力の源泉を確保すること」。このユニークな要約を企業システムに当てはめ、中村氏は「エンタープライズ2.0」という新たなキーワードを創出した。エンタープライズ2.0に基づく企業システムとは、つまり、集合知を利用することで何らかの価値が創造できるような類のものであろう。
このような企業システムには、「信頼性を確保しつつなるべく短いサイクルでシステムをアップデートする」こと、また「ユーザーとなるべきすべてのステークホルダーに参加してもらう」ことが必要だと中村氏は説く。そのために、頻繁なアップデートに耐えるような技術を採用し、さらに、直感的で理解しやすいユーザーインタフェースを実現することがシステム開発を行ううえでのポイントであるとする。ナレッジマネジメントシステムやグループウェアがこのような企業システムの要件に適っている。「エンタープライズ2.0は付加価値を増大させるためのシステム化に適用すべき」と中村氏は言う。
ところで、中村氏のプレゼンテーションのユニークなところは、Web2.0の本質を抽出する過程にあった。同氏は実際の事例を用いて自身の論理を補強するのだが、ここで提示された事例は「涼宮ハルヒの憂鬱」というアニメーション番組だった。
同番組は独立UHF放送局だけで放送されたのだが、一部の熱狂的なファンがブログなどを通じてネット上の口コミ活動を開始し、同時にYouTube上で違法ながらもコンテンツが流通したことで、従来ならリーチできない範囲にまでファン層を拡大した。また、公式Webサイトの制作コンセプトにも独自性があり、この独自性ゆえに、ユーザーが「涼宮ハルヒの憂鬱」関連のコンテンツを生成するというバイラルネットワーク(口コミによるネットワーク)が生じたと中村氏は言う。
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