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少子化対策の切り札は「ネット結婚情報サービス」?

» 2006年07月14日 18時32分 公開
[ITmedia]

 「日本の晩婚化・少子化対策に貢献したい」──ネット結婚情報サービス世界最大手の米Match.comはこのほど、少子化対策の一環として結婚情報サービスの活性化を検討している政府に対し、ネット上のサービスも対象に含めるよう要望した。

 Match.comは日本国内でもサービスを展開し、会員は5月末時点で71万人に上る。同社は「残業の増加などで時間がない日本の独身者の出会いの機会を増やすために、いつでも利用できるネットサービスを活用すべきだ」と提案している。

photo 「毎朝『結婚します』『私たちの赤ちゃんです』とメールが届く。給料はいらないと思うことがあるくらい、やりがいのある仕事だ」と話すサフカCEO

 経済産業省の少子化対策研究会は、独身者の出会いの機会を増やすため、結婚相談業者や結婚情報サービスの活性化を検討。結婚情報サービスをめぐり、利用者から契約をめぐる苦情なども多いことから、安心して利用できるように(1)第三者による認証制度(マル適マーク)の導入や、(2)テレビCMの解禁などによるイメージ向上──といった方策の実施を考えている。

 だが対象になるのは、特定商取引法が定めた「1回の支払いが5万円超で、2カ月以上継続的に提供する」というサービス業者のみ。比較的安価なネット上のサービスはほぼ含まれないことになる。

 このため、来日した同社のジム・サフカCEOが経産省を訪問。ネット結婚情報サービスもマル適マークの対象に含め、民放連にテレビCMを解禁するよう要請してほしい──と要望した。

 少子化の要因の1つには晩婚化がある。経産省などの調査によると、独身男女の約9割は結婚する意思はあるが、未婚の最大の理由は「適当な相手にめぐり会っていないから」。だが20代後半〜30代後半の未婚男性の4割は、週に2〜3日以上は午後8時以降まで残業があるなど、相手を探す時間が少ないのが現状だ。

 かつては親戚や職場の上司など紹介するお見合いが出会いの場として機能していたが、今やお見合い結婚の割合は1けた台にまで減った。だが「見合いに代わるソリューションが見つかっていない」(同社の桑野克己日本代表)のが現状だ。

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 Match.comは世界で1500万人の会員を抱え、今年1〜3月期の売上高が7330万ドルに上る最大手。国内では2002年にMSNを通じてサービスを始め、2004年11月から本格化。「真剣」で「安心」なサービスを強調し、いわゆる「出会い系」のマイナスイメージの払拭に努め、会員数と売り上げを伸ばしてきた。

 国内会員は30代が38%、20代が37%。国内利用する理由として挙げるのは「新しい人と知り合う機会がない」「新しい人と知り合う時間がない」「インターネットで便利なので」──などだ。店舗に出向く必要がある相談業者と異なり、メールを使って自分のペースで相手と接触できるなどのメリットがある。登録自体は無料で、メールを送信する場合のみ有料(30日間で3980円など)と、一般的な業者と比べ安いのも売りだ。

 サフカCEOは「米国ではMatch.comでの出会いが、家族や友人を介しての出会いと同じように普通になってきている。インターネットを当たり前のように使う世代にとっては時間の使い方やコミュニケーションの仕方が変わってきており、こうした世代にアピールしていきたい」と話し、日本市場には大きな伸びしろがあると見ている。

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