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IE 7の自動更新、日本語版は半年後から

» 2006年07月27日 19時34分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 マイクロソフトは7月27日、Webブラウザの次期バージョン「Internet Explorer 7」を自動更新経由でも配布する方針を明らかにした。しかし日本語版については、企業における既存アプリケーションの互換性検証作業などを考慮し、正式リリースの半年後から自動更新機能での配布を開始するという。

 2006年中にリリース予定のIE 7の最大のポイントはセキュリティの強化だ。フィッシング詐欺対策のためにフィルターが提供されるほか、セキュリティ開発ライフサイクル(SDL)<に基づいてソースコードを徹底的に見直している。また、Ajaxなどのテクノロジへのサポートも強化されており、あらゆるユーザーにアップデートが推奨されるという。

 IE 7は、Microsoft Update/Windows Updateやダウンロードセンター経由でも配布されるが、セキュリティパッチ同様、自動更新機能を使っての配布も行うこととした。ダウンロード容量は約12MBを予定している。

 自動更新機能により、セキュリティにあまり関心を払わないユーザーでも、ポップアップやインストール通知画面で「インストールする」を選択するだけでIE 7が導入されるため、「コンシューマー、特に初心者ユーザーや小規模企業にとって非常に有益」(同社ビジネスWindows製品部シニアプロダクトマネージャの伊藤哲志氏)。

自動更新でのインストール通知 ポップアップ画面による通知のあと、このようなインストール通知画面(英語版)が表示され、インストールするかどうかを選択する仕組み

 だが一方で、IE 7へ自動的にアップデートされると、企業で利用されている既存のさまざまなWebアプリケーションの動作にトラブルが生じる恐れがある。「特に日本は2バイト環境であるため、文字化けなどが起こる懸念がある」(伊藤氏)

 そこで、「企業における互換性の問題を解決するため、自動更新を開始する時期を半年遅らせるほか、インストールを無効にする『Blocker Toolkit』を配布する」(同氏)。Blocker Toolkitは、IE 7を優先度の高い更新プログラムとして提供する機能を無効にするようレジストリを変更するツールで、グループポリシーやWindows Server Update Services(WSUS)、Systems Management Server 2003経由で展開することができる。

 また、ローカル管理権限がない限り更新プログラムが提供されないようにするほか、コントロールパネルの「プログラムの追加と削除」から削除できるようにすることで、IE 7へのアップデートによる混乱を最低限に抑えたいとしている。

 同社はWindows XP Service Pack 2(SP2)リリースの際にも同様に、自動更新機能での配布を試みた。このとき、国内の顧客から「互換性検証を行うために猶予がほしい」「Blocking Toolkitの展開を余裕を持って行いたい」といった要望が寄せられたことから、日本独自の試みとして、自動更新経由の配布を半年遅らせることとしたという。

 IE 7は現在β3が公開されており、同社によると、5月にリリースされたβ2は、公開から約1カ月版の間に日本語版だけで100万以上のダウンロードがあった。また、8月後半から9月にかけての時期に、リリース候補版(RC1)を公開する予定という。

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