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「亀山第2工場モデル」の新「AQUOS」

» 2006年08月31日 18時57分 公開
[ITmedia]

 シャープは8月31日、液晶テレビ「AQUOS」シリーズの新製品6機種を発表した。今月から稼働を始めた亀山第2工場(三重県亀山市)製のフルHDパネルを搭載する「亀山第2工場モデル」(同社)。年末商戦向けに世界同時に発売し、パネル不足でつまづいた世界市場で失地回復を目指す。

photo 亀山第2モデルの52V型フルHD

 新製品は、1920×1080ピクセルのフルHDパネルを搭載した52V型、46V型、42V型。それぞれアンダースピーカーとサイドスピーカーの2デザインをラインアップする。

 現時点で世界最高という2000:1のコントラスト比や、世界最速という4ミリ秒の応答速度など、パネルの表示性能を向上。HDMIケーブルで同社製レコーダーと接続し、一元操作できる「AQUOSファミリンク」にも対応した。

 52V型と46V型は10月1日に、42V型は11月10日に発売。価格はオープンで、実売予想価格は52V型が60万円前後、46V型が50万円前後、42V型が45万円前後。

「大型はシャープ」

photo 第8世代ガラス基板(左)からは、46インチが8枚取れる

 新製品のパネルを生産する亀山第2工場。当初10月の稼働開始予定を早め、今月からマザーガラスの投入を始めた。50インチパネルが6枚取れる2160×2460ミリという大型基板に初めて対応した最新鋭工場だ。

 まず同サイズの基板換算で月産1万5000枚でスタートし、来年3月には3万枚に倍増。2008年度中に計画しているフル稼働時には9万枚に引き上げる。総投資額は3500億円に上る見込みだ。

シャープの株価チャートシャープの株価チャート(1年:縦軸の単位は円)

 大型液晶事業などを担当する片山幹雄専務は「他社に来秋から第8世代を稼働する計画があるようだが、シャープは1年先行して量産を始める」と、前日に新製品を発表したソニーをけん制する。

 新鋭工場の稼働を前倒ししたのは、昨年のクリスマスシーズン、海外市場でパネル不足に泣いた苦い経験があるからだ。同社の国内市場シェアは50%以上と他を突き放すが、Display Searchが発表した今年4〜6月期の世界シェアは、前四半期から1.3ポイント減の11.8%にとどまった。20%以上を維持していた以前に比べると低下が著しい。

 「海外では40インチ以上にシフトしているのに、37インチまでしか用意できなかった。メインの売り場にシャープ製品はなく、存在感がなかった」(片山専務)。世界同時発売する新製品は、欧米向けにデザインを変えて投入し、広告宣伝費も海外に集中的に投下。「大型はシャープ」のブランドイメージ作りを急ぐ。

 9月にはメキシコで、来年1月にはポーランドでも液晶モジュール生産を始める予定で、生産体制を含めて海外展開を再構築する。片山専務は「新ラインアップの投入で、世界シェアは15%くらいにまで戻せるだろう」と期待する。

 液晶はPDPに比べた場合のコスト競争力が弱点だと指摘されていたが、第2工場は生産リードタイムを半減するなどし、「第1工場から2倍の効率化を実現した」(片山専務)という。

 大型パネル生産の効率化で、2006年度末には国内では37インチ以上をすべてフルHD化する計画。その一方、10インチから60インチまでさまざまなニーズに応じた製品もラインアップする。片山専務は「あらゆるテレビの中で、広範囲に製品化できるのは液晶だけだ」と液晶の優位性を強調している。

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photo ラインアップの豊富さを誇るAQUOSシリーズ

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