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Dellが目指す「Dell 2.0」

» 2006年09月13日 17時32分 公開
[John G. Spooner, John Hazard,eWEEK]
eWEEK

 Dellはもっとうまくやりたいだけなのだ。

 同社は業績低下、米証券取引委員会(SEC)の調査、ケビン・ロリンズCEOの主導力への疑問に打ちのめされてきたが、このほど「Dell 2.0」という全社的な取り組みに着手した。電力効率を高めたハードの提供から、1度の電話で顧客の問題を解決するためのテクニカルサポートの強化まで、顧客のニーズに応えることが目的だ。ロリンズ氏が同社のTechnology Dayの講演で明らかにした。

 事業の向上――製品設計の改良、サービス・サポート事業の強化、ストレージメーカーEMCとの提携拡大、より双方向的なプラチナレベルの専門サービスの提供を意味する――により、Dellは同社への最近の批判を減らし、顧客の忠誠を取り戻し、最終的にはこれまでの売り上げ、利益、出荷台数拡大パターンに戻ることを目指すと同氏は語った。

 「これまで当社が完ぺきにはやってこなかったことは分かっている」とロリンズ氏はサービスとサポートに触れて語った。「Dell体験は当社の第一の優先事項だ。今年はここに投資し、長期的に文句なしに最高の顧客体験を提供する」

 Dell 2.0の下での「共通のゴールは、すべてをもっとよくするために力を入れること」だとロリンズ氏は言う。「顧客が満足し、彼らのニーズを満たしたときに、当社の売り上げが伸び続けるということは分かっている」

 だが、最近企業顧客の一部に批判されているDellがそこに至るまでにはやるべきことはあるかもしれない。eWEEKには複数の顧客から、同社がさらに革新と積極的なサポートを提供すると期待しているとの意見を聞いている。

 だがロリンズ氏は、Dellはハードウェアの電力効率向上など、顧客のニーズに応えるためにいっそうの努力をしてきたと語った。

 同社は、IT管理者のフィードバックに基づいて、消費電力を削減し、よりユーザーフレンドリーな機能を提供するために、Intel Core 2 Duoプロセッサを搭載した企業向けの新しいデスクトップPC「OptiPlex 745」を設計したと同氏は言う。

 同製品は中央管理コンソールなどの機能に加えてDellの電力管理技術を搭載し、旧モデルより電力効率が70%高いという。

 これはつまり、最高で1台当たり年間80ドルの節約になるということだと同氏は主張する。

 Dellはまた、テクニカルサポートに関して「resolve in one(1度で解決)」という新しいモットーを採用した。スタッフのトレーニングを強化することで、テクニカルサポートへの電話1回で問題を解決することを目指している。

 「これは新たなときの声だ」とロリンズ氏は言う。「当社は技術者の質を高め、確実に最高の人材を雇い、彼らの最高のツールを提供することでこのモデルを作り上げようとしている」

 だがそのときの声は、一部ではロリンズ氏の退陣を求める声のようにも聞こえる。

 質疑応答において、Dellのマイケル・デル会長は、ロリンズ氏への信頼を改めて主張した。ロリンズ氏はDellにおいて10年以上多数の幹部職を務めてきた。デル氏は最近の失策についての責任は自分にもあると述べた。

 「ケビン・ロリンズは際だった幹部であると確信している。Dellの課題はケビンの行動だけだととらえることは」間違っているとデル氏は語った。

 デル氏とロリンズ氏がともにDellを経営していることを考えると、「誰かを責めたいのなら、わたしのことも責めるといい」とデル氏。「われわれの会社は成長し、繁栄し続けるだろう。(ロリンズ氏退陣に関する)マスコミの憶測はまったく無用のものだ。そんなことにはならない」

 その代わりに、同社はDell 2.0を推進するつもりだと同氏らは語った。

 この計画の一環として、効率向上のためにサプライチェーン、工場ネットワーク、販売モデルの調整が行われるという。

 ロリンズ氏は、Dellは近いうちに西欧の工場を発表する予定だと語った。

 Dellは企業やコンシューマーにオンラインで直接販売するなどの直販モデルにこれからもフォーカスするつもりだ。だが同社はダラスに店舗を開いており、今後は販売モデルを拡大するかもしれない。

 「5〜10年経てば、コンシューマーのオンラインでもの(コンピュータなど)を買う傾向は弱まることはなく、強まるというのがわたしの信条だ。だが、当社が市場にリーチするほかの手段を試したり採用したりしないということではない」(ロリンズ氏)

 最終的に、同社は顧客との長期的な関係についてもっと考え、同社の言うところの「最高のPC企業」から「最高のシステム企業」に進化することを目指していると同氏らは言う。

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