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シュワルツェネッガー知事、RFID法案を叩きツブす

» 2006年10月05日 14時25分 公開
[Renee Boucher Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 州政府および地域行政機関の文書でRFID(無線ICタグ)の使用を規制するカリフォルニア州の法案が廃案になった。このSB 768法案は久しく成立が待たれていたものだ。米国では、関連記事のように大規模な用途への導入が検討されている。

 アーノルド・シュワルツェネッガー知事は先週、SB 768に対し、ひそかに拒否権を行使した。

 9月30日に廃案となった73本の法案のリストに埋もれる形で、SB 768(Identity Information Protection Act of 2006)が拒否されたことが告示されていた。

 カリフォルニア州上院議員のジョー・シミティアン氏(パロアルト選出民主党)による起草の同法案については、米国におけるRFID関連法規制を方向付けるという見方が多かった。米国自由人権協会などの団体は、この法案が成立すれば、ほかの州もカリフォルニア州の先例に従い、市民のプライバシー/セキュリティ権を守るために、RFID技術の利用を制限する法律を制定するものと期待していた。

 シュワルツェネッガー知事は、同法案は未熟であるとする声明を発表した。

 「わたしは、この法案の条項の適用範囲があまりにも広く、非接触技術がもたらす多数の有益な新用途を過度に制約する恐れがあるという懸念を抱いている」とシュワルツェネッガー知事は述べている。

 連邦政府がReal ID Actに基づいて、政府のIDカード(RFIDが有力候補となっている)に対する新しい技術標準をまだリリースしておらず、カリフォルニア州が法律を制定すれば、間もなく公布される連邦法と矛盾する要件を課すことになる可能性がある、と同氏は指摘する。

 軍事出費法案の付帯条項として提出されたReal ID Actは、2005年5月11日に法律として成立したものだ。この法律は、2008年までにすべての州が運転免許証のデザインを変更し、共通の機械可読技術を組み込むことを義務付けたもので、この動きは、RFIDチップを組み込んだ国家IDカードの登場の前触れだというのが大方の見方だ。

 拒否権行使に関する声明書の中でシュワルツェネッガー知事は、州政府および地域行政機関の文書でRFIDの使用を禁止するカリフォルニア州の法案は、「業務の改善と効率化、経費の削減、公共サービスの改善」につながる技術を各種の州政府機関が調達するのを妨げ、「州政府機関を不必要に制約する」可能性があると述べている。

 シミティアン上院議員は9月15日のeWEEKの取材に対して、SB 768が廃案になってもRFID法を作成する作業を続けるつもりだと答えた。

 「シュワルツェネッガー知事が拒否権を行使しても、この法案は2年間の今会期の間、棚上げになるだけであり、2007〜2008年の会期に再提出することができる。わたしの最初の4年間の任期はまだ半分残っている」(シミティアン上院議員)

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