米IBMが10月26日、新しいチップ冷却技術を発表した。生物学からヒントを得たという「樹形状」構造を取り入れた「high thermal conductivity interface(高熱伝導率インタフェース)」技術で、現在の冷却技術に比べて2倍の冷却能力が得られるという。
この新技術は、チップと、ヒートシンクなどの冷却用コンポーネントとの接続部分に着目。通常この部分には、チップが熱に応じて伸縮できるよう、特殊なペースト状の材料が塗布されている。このペーストが薄いほど冷却能力は高まるが、薄過ぎるとチップの収縮による圧力を吸収できず、損傷することもある。
IBMの新技術では、ヒートシンクとペーストとの間に、樹形状の溝を持つ「チップキャップ」を設置。この溝が、チップにかかる圧力を均等に分散するうえ、チップからヒートシンクへの熱輸送量も10倍向上し、冷却効果が上がるという。
IBMでは、こうした空冷技術だけでなく、「樹形状」構造を利用した水冷技術「direct jet impingement(直接ジェット衝突)」技術も開発中。5万本の極小ノズルから冷却液をチップの背面に噴射することでチップを冷却する。冷却液に水を使用した実験では、1平方センチ当たり370ワット、現在の空冷技術の限界の6倍以上の冷却能力を実現したうえ、冷却システムの消費電力も現行システムよりもずっと少なかったという。
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