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P2Pダウンロード高速化システム、米大学が開発

» 2007年04月11日 15時32分 公開
[ITmedia]

 米カーネギー・メロン大学の研究者が4月10日、P2Pファイル交換サービスを大幅に高速化するシステムを開発したと発表した。

 このシステムは「Similarity-Enhanced Transfer(SET)」と呼ばれ、同校のデビッド・G・アンダースン助教授とIntel研究所のマイケル・カミンスキー氏が設計した。

 SETはBitTorrentやGnutellaなどのP2Pサービスと同様に、共有したいファイルの断片を複数のソースから同時にダウンロードする。従来のP2Pサービスでは、十分なソースが見つからずにダウンロードが低速になることがあるが、SETは共有したいファイルと同一のファイルだけでなく、類似のファイルも探す。これによりダウンロードに使えるソースが増え、ダウンロードが高速になるという。

 SETの基本的な動作はBitTorrentに似ており、ソースファイルの断片を複数の場所から同時にダウンロードし、1つのファイルに再度組み立てる。しかし、SETはダウンロードを実行しながら、ソースファイルと似たファイルも探し続ける。類似のファイルを探すには、検索結果のクラスタリングやスパム検知に使われるハンドプリンティングというプロセスを利用する。

 SETによってダウンロードをどの程度高速化できるかは、共有するファイルのサイズや人気度などの要因により異なる。場合によっては5%しか高速にならないこともあるし、5倍高速になることもあるという。アンダースン氏らのテストでは、MP3ファイルのダウンロード速度は71%向上し、55Mバイトの映画の予告編のダウンロードは、類似度47%のビデオファイルも利用して30%高速化できた。

 アンダースン氏らは、SETをソフトや学術論文を共有するサービスに実装したい考えで、これを映画や音楽の共有サービスに応用する意図はないという。

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