ドワンゴ子会社・ニワンゴが運営するニコニコ動画は、ドワンゴグループとしてほぼ初となる、PC向けの本格サービスだ。開発したのは、携帯サービスを担当してきたドワンゴの技術陣。慣れないPC向け開発。「史上最高速」(ニワンゴ)というスピードで増えるユーザーからの負荷に耐えながらも「開発は楽しい」と口をそろえる。
昨年末に公開したプロトタイプ「ニコニコ動画」(仮)から開発にたずさわってきた、ドワンゴ研究開発部技術支援セクションの戀塚(こいづか)昭彦さん(36)と、ポータル開発セクションの鈴木慎之介さん(25)に話を聞いた。
「これまで携帯の公式サイト開発ばかりしてきたので、本格的なPC向けサービスは初めて。開発ブログも書いていたのですが、何か新機能をつけるとユーザーからの反応がすぐに来るのが新鮮でした。求められるスピードは、携帯の公式サイトよりも早いですね」(鈴木さん)
「わたしはフリーのプログラマーとして、So-netの麻雀サービス『JongPlugged』(ジャンプラ)を作ったことがあったんですが、その時と同じようなスピード感覚で、ユーザーと対話しながらバージョンアップしています」(戀塚さん)
テスト版だった「仮」のころから人気はうなぎ登り。1月に公開したβ版はあまりの人気で動画引用元のYouTubeに高負荷をかけ、YouTubeからアクセス拒否されてしまった。
「外部の動画サイトに迷惑をかけているという認識はあったので、自前サーバを持とうという話は以前からしていましたが、YouTubeが使えなくなったときは大騒ぎでした。正直、ここまでの人気は想定していなかったので、『すごいなぁ』と他人事のように思います」(鈴木さん)
ユーザー数は増え続け、1人当たりの滞在時間も延びている。「1つの動画を見て、タグなどで関連動画を見つけて――というサイクルで、1人1日当たりの視聴時間は平均30分ほどにまで延びています。『時間泥棒』なんて言われることもあります」
人気サービスならではの苦労もある。「面白い機能を思いついたら早く試してみたいんですが、やってみたけれど過負荷でダウン、ということもある。普段の負荷が大きすぎて、仮想的に作った負荷では足りず、実環境に近い負荷でテストすることができないんです」(鈴木さん)
ユーザーの声に耳を傾けながら開発するが、一部のユーザーが「忌憚(きたん)なさすぎる意見」(戀塚さん)をブログなどに寄せる点も、たまにちょっと辛いという。
2人ともニコニコ動画のヘビーユーザー。「『仮』を作っていたころから、ユーザーとして楽しんでいた」(戀塚さん)といい、開発の合間やプライベートな時間にも、面白い動画を見つけてはニヤリとする。戀塚さんのおすすめは、「ふちゃぎ成長日記シリーズ」というネコ動画だ。「ネコのふちゃぎがよく動いてかわいい」(戀塚さん)
開発側が提供している、ひそかなおもしろコンテンツも教えてもらった。「画面左上のアイコンは300種類ぐらいあって、リロードするたびに変わります。右上に表示される『通常の3倍のニコニコ』『2階からニコニコ』といったひとことメッセージも、ニコニコ普及委員会で考えていて、1日1回ペースで変わっています。ユーザーさんにも新しい楽しみ方を発明してもらえれば」(鈴木さん)
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