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「負けなし」のチェッカー対戦ソフト、アルバータ大で開発

» 2007年07月20日 10時50分 公開
[ITmedia]

 紀元前3000年にまでさかのぼる歴史を持つボードゲームのチェッカーを、アルバータ大学のコンピュータ科学者が完全に解明したと発表した。

 チェッカーは「西洋碁」とも呼ばれる、市松模様のボード上で駒を取り合うゲーム。同校のジョナサン・シェーファー氏とその同僚は、18年以上の間5×1020回駒を動かし、4月にチェッカー対戦プログラム「Chinook」を作成した。Chinookは引き分けになる可能性はあっても、絶対に負けないという。

 シェーファー氏――自らを「ひどい」チェッカープレイヤーと言う――は上級プレイヤーの力を借りて、成功した駒の動きと失敗した駒の動きに関する知識を獲得するソフトにヒューリスティック(経験則)を組み込んだ。その後、毎日平均50台(ピーク時は200台)のコンピュータを使ってこのソフトを走らせ、調整を加えていった。

 Chinookにはもうヒューリスティックは不要であり、あらゆる状況で最善の動きを「知っている」データベースになったと発表文には記されている。

 Chinookプロジェクトは1989年に始まり、1994年には人間のチャンピオンに勝った初のコンピュータプログラムとなってギネスブックに載った。その後Chinookは負けなしで1997年に引退。2001年に「完ぺきなチェッカープログラム」を目指してプロジェクトが再開された。

 この研究の成果は、7月19日のScience誌に掲載されている。

ChinookのサイトではオンラインでChinookと対戦したり、ほかの人とChinookの対戦を見ることができる

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