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高速なロスレス画像圧縮技術、NECが開発 JPEG2000の数十倍

» 2007年07月25日 19時20分 公開
[ITmedia]
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 NECは7月25日、圧縮速度を高速化したロスレス画像圧縮技術を開発したと発表した。JPEG2000など既存の規格と同等の圧縮率を保ちながら、数十倍の速さで圧縮できるのが特徴。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の金星探査計画で衛星画像処理に採用される予定。

 一般に使われているJPEGなどの画像圧縮方式は、ファイルサイズが小さくなる分、元画像から画質が劣化する。

 これに対しロスレス(lossless)画像圧縮は、画像の圧縮時に画質の劣化がないため、科学関連や医療画像、高品位デジタルカメラといった高精細な画像を扱う分野での利用が期待されてきた。ただ、圧縮時の演算量が増えて処理が重くなるため、低電力デバイスへの搭載が難しいなどの課題がある。

 新開発の方式では、対象画像を写真や自然画像に限定し、独自の画素予測方式を考案することで演算負荷を軽減。JPEG-LSやJPEG2000の可逆モードと同等の圧縮率ながら、カラー写真を使ったソフト圧縮実験では、JPEG-LSの10倍以上、JPEG2000の30倍以上に高速化できたという。プログレッシブをサポートするほか、各色16ビットの高精細画像にも対応できる。

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 自然画像のロスレス圧縮に特化した新アルゴリズムを開発し、ハードウェア処理の際の回路規模も小型化した。実装試験では、JPEG2000の10分の1の回路規模で圧縮処理が可能という。JAXAが2010年以降に計画している金星探査衛星の搭載予定CPU上でも高い性能を確認できたとしている。将来の衛星での使用を目指し、JAXAと共同でASIC化も進める。

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