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» 2007年09月25日 12時40分 公開

“コミケの力”をアニメにも――“権利者公認”2次創作の祭典 (2/2)

[岡田有花,ITmedia]
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 そもそも手塚治虫自身、ディズニーの「バンビ」を描くなど2次創作を行ってきた。「新しいものは、先人の作ったものの積み重ねの上に積み上がっていく。『まねはダメ』と言っちゃうと文化がそこで途絶えるから、『文化の発展に寄与する』という著作権法の目的にも反するだろう」

 「アニメ・チャレンジオーディション」「OPEN POST」は、手塚プロなどがこれまで協業してきた一線のプロだけでなく、コミケに参加するようなアマチュアや、2次創作未経験の一般ユーザーを含めた幅広い人々からアイデアを募集しよう――という取り組みだ。

 「アイデアや表現能力はあるが、それをよりよく表現するためにインパクトのあるキャラクターが欲しいという人もいるだろう。そういう人にアニメ作品を自由に使ってもらうことで、アニメプロデューサーが思いもつかないような商品やコミュニティー、新ビジネスが生まれるかもしれない」

商品化権からの収入に期待

画像 手塚プロは外部デザイナーと協業し、ユニクロとのコラボレーションTシャツも制作した

 清水さんによると、動画協会員50社のアニメの制作費は年間約400億円。「どのプロダクションもおそらく20%も制作利益が出ていない」といい、仮に20%で計算しても利益は80億円。50社で割ると、1社当たりの年間制作利益は1億6000万円に過ぎない。

 その一方で、商品化権からのロイヤリティー収入は年間約160億円。仮にほぼ全てが利益になると単純計算すると、1社当たり3億円強。制作料収入からの利益の2倍近い。「アニメの制作基盤を強化するには、いい作品を作るのことは当然だが、商品化からの利益を得ていく必要もある」

 プラモデルやおまけ付き菓子、ノート――アニメのキャラクター商品企画はこれまで、スポンサー企業が主導してきた。「アニメ制作者サイドはこれまで、商品化は玩具メーカーなどスポンサーに任せるものだと思っていたし、スポンサーはアニメを『ものを大量に売る道具』と見ていた面もあるだろう」

 アニメに強力なスポンサーが付かない時代。制作会社自身が外部のクリエイターと協業してキャラクター商品を開発すれば、新たな収入源となる可能性がある。

アニメは多様化・細分化する

 スポンサーに見放された子ども向けアニメがゴールデンタイムから消え、大人向けの深夜アニメは収益基盤であるDVD販売が不振。アニメビジネスが厳しい時代を迎えつつある中、アニメは二極化すると清水さんは見る。(1)アニメそのものの良さやストーリー、動きで売る“昔ながら”のアニメへの回帰、(2)Flashアニメ「やわらか戦車」「THE FROGMAN SHOW」のような、個人クリエイターによるアニメによる細分化、多様化――だ。

 「キャラクタービジネスや商品化を前提とせず、作品で勝負する世界にルネサンス的に回帰していく動きがある一方、デジタル化でアニメの作り方が変わり、個人のクリエイターがストーリー性のあるアニメを1人で作れる時代になった。1つ屋根の下に絵描きが集まらなくても作品はできる」

 アニメ1作品で何千万人という視聴者を相手にするマスビジネスの時代は終わりつつあり、作品ごとに細分化された小さなコミュニティーを相手にする“ロングテール”の時代が来ると展望する。「数十万人という単位の集まりの中でどういうビジネスをし、活性化していくかがプロデューサーに問われていくのではないか」

 時代に合った新たなビジネスモデルも検討している。例えば、コンテンツの2次利用権を個人にも広く許諾し、そこから広く薄く収益を得るビジネス。子どもの草野球のユニフォームにアトムのキャラクターを利用したいお母さんが、1着分当たり数十円でアトムのイラストをダウンロードし、合法に2次利用できるようにする、といった仕組みなどだ。

 多様化・細分化した作品それぞれを盛り上げ、いかに収益をあげていくか――“アニメの次世代”に対応できる新たなビジネスモデルの模索は、しばらく続きそうだ。

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