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MIT、脳信号の動作への変換を助けるアルゴリズムを開発

» 2007年10月05日 17時40分 公開
[ITmedia]

 マサチューセッツ工科大学(MIT)は10月2日、身体まひを持つ人や四肢の不自由な人の脳信号を動作に変換する人工装具のための新たなアルゴリズムを開発したと発表した。同技術についての記事は「Journal of Neurophysiology」10月号のトップ記事として掲載されている。

 外傷や疾患によって身体がまひしたり四肢を切断されると、思考・決定の能力があっても動いたり話したりできなくなる。脊髄損傷、脳卒中、筋萎縮性側索硬化症などの疾患では、脳から筋肉へ指令を運ぶ神経が損傷し、四肢が切断されれば神経も筋肉も失う。

 人工神経補装具はこうしたまひや四肢の喪失を補うもので、神経信号のモニタリングには電子技術が使われている。

 10年以上もの間、こうした補装具の取り組みは多くの領域に分断され、脳性まひの研究者らはさまざまなアルゴリズムを利用してきた。MITの技術は、こうした取り組みに共通の枠組みを提供するとしている。

 この研究に携わるラクシミナラヤン・スリニバサン博士によると、MITが開発した新アルゴリズムはどんな測定法にも対応するという。「モダリティや脳の領域別に新しい枠組みを作り直す必要がなくなる」とスリニバサン氏。

 ただしこうした神経人工装具の商品化への道のりはまだ遠く、現在のプロトタイプと最終製品の間には大きな隔たりがあるという。

 脳が行動を制御する方法と病気のメカニズムに関する定量的な理解によって、いつの日かこうした補装具が映画「アイ,ロボット」でウィル・スミスが装着していた義手の完成度に近づくことを望んでいるとスリニバサン氏は語った。

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