エレクトロニクスメーカーの業界団体・電子情報技術産業協会(JEITA)はこのほど、私的録音録画補償金制度について検討してきた文化審議会著作権分科会の「私的録音録画小委員会」が発表した中間整理について「議論が尽くされていない」とし、補償金制度について抜本的な見直しを求める意見書を「協会の見解」として公表した。
意見書では(1)補償の必要性に関する議論が尽くされていない、(2)制度の維持・対象機器の拡大を前提とした議論は問題、(3)DRMなどでコピー制限されているコンテンツは、補償の対象とする必要がない――と主張している。
まず、どんな行為なら補償が必要で、どんな行為なら不必要かについて、小委員会で議論が尽くされていないと指摘。例えば「自分で購入したCDを携帯プレーヤーに取り込んで聴く『プレイスシフト』」「放送を録画して自由な時間に見る『タイムシフト』」などのケースでは、補償の必要がないと主張。補償金制度は15年前に作られた制度で、抜本的な見直しが必要とする。
補償の必要性について議論が尽くされていないにも関わらず、小委員会で「仮に補償の必要性があった場合」という前提で検討がなされたことについて「制度の維持や対象機器の拡大を前提とした議論」と問題視。「現行の補償金制度がユーザーに理解・支持されているとは言いがたく、ユーザーの意識や使用実態を反映せずに結論を急ぐことに反対」としている。
さらに、権利者側がDRMで録音・録画を制限している場合、その範囲内での録音・録画するケースは「権利者に重大な経済的損失を与えるとは言えず、補償の必要があるとは考えられない」と主張。地上デジタル放送はDRMで録画回数が制限されているため「2011年の完全デジタル化以降は、地上デジタル放送録画機器を補償金の対象とすることは不合理」としている。
JEITAは主張をパブリックコメントとしてまとめ、文化庁に提出する予定。「著作権の重要性は権利の保護については十分に理解している」としながらも、「協会の主張を、消費者やクリエイターを含めた多くの人に理解してもらえるよう、今後も努力する」という。また「消費者が広くこの問題に興味を持ち、率直な意見を表明することを期待する」としている。
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