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ソニー上方修正 BRAVIAは「ラインアップ間違って」不振

» 2007年10月25日 20時58分 公開
[ITmedia]

 ソニーが10月25日に発表した2007年7〜9月期(第2四半期)連結決算(米国会計基準)は、デジタルカメラ「サイバーショット」などが好調で売上高が過去最高を更新し、通期の業績予想も上方修正した。ただ液晶テレビ「BRAVIA」やプレイステーション 3(PS3)など戦略商品が苦戦。下期で巻き返しを図る。

ソニーの株価チャートソニーの株価チャート(1年:縦軸の単位は円)

 修正後の通期見通しは、売上高が8兆9800億円(当初見通しは8兆7800億円)、営業利益が4500億円(同4400億円)、税引き前利益が5000億円(同4200億円)、純利益が3300億円(同3200億円)。

 第2四半期の売上高は、前年同期比12.3%増の2兆830億円、営業利益は905億円(前年同期は208億円の損失)、税引き前利益は879億円(同261億円の損失)、純利益は7.2%増の773億円。

BRAVIAは「ラインアップ間違った」

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 エレクトロニクス分野の第2四半期売上高は前年同期比20.7%増の1兆6631億円、営業利益は1061億円と前期の13倍。PS3向け半導体や、デジタルカメラ「サイバーショット」、ノートPC「VAIO」の海外販売が利益を押し上げたほか、前期計上したリチウムイオン電池パック回収に関わる費用引き当て(512億円)がなかったことが増益要因となった。

 液晶テレビ「BRAVIA」を含むテレビ事業は、売上高こそ3070億円と前年同期より20%増えたが、営業赤字幅は前年同期より110億円拡大し、210億円の損失。液晶リアプロジェクションテレビの市場縮小・価格下落と、「液晶は春モデルの商品力がなかった」(同社の大根田伸行CFO)ことが響いた。

 「他社は春からフルHDモデルを投入していたが当社は秋以降の投入となり、上期はラインアップを間違った。液晶は、ラインアップさえ間違えなければ黒が出るビジネス」(大根田CFO)。下期は黒字化する見通しといい、通期の売上げ台数目標は1000万台から変えない。

 米国で急速にシェアを伸ばしている新興テレビメーカーVizio(ビジオ)など、低価格ブランドの攻勢について聞かれた大根田CFOは「低価格ブランドのテレビは数量シェアを取っており、無視はできないが、真っ向から戦う戦略は採らない。大型でフルHDという戦いに持って行きたい」と話した。

 半導体ビジネスは、PS3向け半導体出荷が伸び、営業利益は前年同期よりも310億円改善して240億円に。通期で黒字化する見通しだ。

ゲームは不振、映画は好調

 ゲーム分野は、前年同期にはなかったPS3が新たに加わったため、売上高は42.9%増の2434億円。だが製造価格が販売価格を下回るPS3の戦略的な価格設定が響き、営業赤字幅は532億円拡大して947億円となった(ゲーム事業に関する詳細記事)。

 映画分野は「Superbad」のヒットで増収増益。金融分野はソニー生命が不振で減収減益だった。ソニー・ミュージックエンタテインメントの事業を含むその他分野は、ORENGE RANGEやアンジェラ・アキのアルバムが好調で増収増益。持ち分法適用会社のソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズは「ウォークマン携帯」「サイバーショット携帯」が貢献して増収だった。

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