米Googleは11月1日(米国時間)に、プログラマーがLinkedIn、Friendsterなどのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)向けのソーシャルアプリケーションを開発するためのAPI一式を発表し、正式にソーシャルソフト開発プラットフォーム企業の仲間入りを果たす。
同社のAPIセット「OpenSocial」は、プログラマーが4億人のSNSユーザーに向けて、独自のオープン開発者モデルに基づくよりもリーチの大きなアプリケーションを開発できるよう支援するためのものだと、同社のプロダクトマネジャー、ジョー・クラウス氏は10月31日にeWEEKに語った。
Googleの計画は、Facebookが開発者向けプラットフォームを立ち上げて大成功を収めたことへの対抗策だ。5月24日の立ち上げ以来、Facebookのプラットフォームを基盤として7000のアプリケーションが開発されている。
Facebookは、開発者がユーザープロファイルを利用して、Facebook上で動作するアプリケーションを構築できるようにしているが、このモデルには制限がある。ほかのSNS向けのソフトを開発するには別のAPIを使わなければならないからだ。
Googleはこれをさらに進歩させており、開発者は3つのAPIで複数のSNS向けにアプリケーションを書ける。このAPIは、ユーザーのプロファイル、友人の情報、友人に活動情報を知らせる機能にアクセスするためのものだ。
この「一度覚えれば、どのサービス向けにも作れる」方式では、開発者はOpenSocialに対応したあらゆるWebサイトで動作するアプリケーションを構築できる。
Google独自のSNS「Orkut」に加えて、LinkedIn、hi5.com、iLike、Friendster、Ningなど十数のパートナーがOpenSocialに参加している。これらサイトを合わせると、ユーザー数は1億人を超える。Facebookのユーザー基盤の約2倍だ。
「開発者が複数のサイトにアプリケーションを提供する上で本当に便利だ」(クラウス氏)
Googleはまた、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)企業Salesforce.com、企業向けソフト大手OracleもOpenSocial陣営に取り込んだ。大方の専門家にとっては予想外のことだ。
クラウス氏は、ソーシャルコンピューティングはこれまでコンシューマーの間の流行と考えられてきたが、ビジネスも本質はソーシャルな行為であり、関係に基づいて予測されるものだと指摘する。Salesforce.comは、自社の開発者がSalesforce.com向けの「ソーシャル拡張機能」を開発できるようにしたい考えだと同氏は言う。
開発者は11月1日から、3つのJavascript APIとGdata APIを使って、ソーシャル機能と開発者向けサンドボックスを利用できる。WebサイトはOpenSocialとサポートフォーラムに対応するためのツールを使える。
OpenSocialの立ち上げは、GoogleとFacebookの間で燃える炎をさらにあおるものだ。両社は日ごとに真のライバルになっていくように見える。OpenSocial発表の1週間前には、MicrosoftがFacebookの独占広告プラットフォームとしての契約を拡大すると発表した。また、同社はFacebookの一部株式を2億4000万ドルで取得する。
IDCのアナリスト、レイチェル・ハップ氏は、Googleは同社と同じくFacebookに脅威を感じていて、成長継続のために積極的な方法を取らなければならないパートナーを見つけたと語る。これら企業を合わせると、多数のユーザーと大量のユーザーデータが利用できる。
「『Googleとその友人たち』のモデルは魅力的だと思う。しかし、新しい活動を可能にしたり、新規ユーザーにリーチできるようになるだろうが、Facebookから市場シェアを奪えるかどうかは分からない。現時点ではゼロサムゲームだとは思わない。市場が急速に伸びているからだ」(同氏)
OpenSocialはSNS標準の先駆けになるかもしれないとも同氏は語った。
Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.
Special
PR