米Microsoftが「Windows Vista SP1」のリリース候補(RC)プレビュー版を、広範なβテスターに向けてリリースした。
同社は9月に、最初の非公開SP1βをあらかじめ選んだ約1万2000人のテスターに配布した。このとき同社は公開β版の提供を約束したが、その提供時期は明らかにしなかった。
今回のRCプレビュー版は11月14日遅くにリリースされ、テスターからのフィードバックに応えてセットアップとインストールに変更を加えた。最初のβ版よりも3000人多い1万5000人のテスターに提供されている。
Microsoftは現在、Vista SP1のRCを近いうちにもっと多くのテスターに提供する計画だと発表文で述べているが、2008年第1四半期に製造工程向けリリース(RTM)を目指すということ以外詳しいことは明らかにしていない。
たとえMicrosoftが、SP1が企業のVista採用に及ぼすであろう影響を過小評価していても、アナリストは、これは低調な企業でのVista採用を上向かせるカギだと主張している。
Directions on Microsoftのアナリスト、マイケル・チェリー氏は、SP1に基づくVistaの評価は増えると予測しており、企業がそこに価値を見出せば、導入は増えるはずだと語る。
Enderle Groupのアナリスト、ロブ・エンダール氏によると、Vistaの最初のバージョンでは問題を報告した企業もあるが、SP1に関する初期報道は、こういった問題の多くが解決されていることを示しているという。「SP1が今後もテストで優秀な結果を示せば、2008年には企業での普及が加速するだろう」と同氏は語る。
Forrester Researchは11月12日に公表した報告書で、これまでの企業でのVista普及率を2%としている。ただし、同社が調査した1001社の約半分はVista導入の具体的な計画があるという。
「多くの企業はSP1のニュースを待っている。MicrosoftはSP1を2008年第1四半期にリリースすると認めた」とForresterのアナリスト、ベンジャミン・グレイ氏は報告書で述べている。
企業の約7%は2007年内に、32%は2008年内に、17%は2009年にVista導入を開始するだろうと報告書にはある。
MicrosoftのWindowsクライアントチームのシニアプロダクトマネジャーを務めるマイケル・バーク氏も、企業でのVistaの普及はまだ初期段階であることを認めている。
「Windows XPが企業で利用される主要OSとして普及するのに何年もかかった。VistaがXPに取って代わるのには時間がかかるだろう。とは言え、主要企業でのWindows Vistaの普及が始まる転換点に近づいていることを示す兆候は幾つかある」とバーク氏は語る。
Vistaの普及が進んでいないことに加えて、LinuxがデスクトップでWindowsの確かな脅威になりつつあり、来年はディストリビューター各社がエンタープライズ級の製品を継続的に投入し、勢力を伸ばすだろうとグレイ氏は指摘する。「デスクトップLinuxに関してかなり顧客の問い合わせがあることから考えると、明らかに、すぐに消えることはなさそうだ」
企業がVistaにアップグレードしない理由として、主に挙げているのが、同OSを最適状態で動作させるのに必要な新しいハードウェアに入れ替えるためのコスト、これらの企業で使っているソフトウェアの一部がまだVistaと互換性がないこと、Vistaの新機能や改良されたセキュリティ機能がトラブルの原因になっていること、そしてWindows XPでも現在のビジネスニーズにまだ対応できることなどだ。
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