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ケータイのau、テレビでもコンテンツ販売 STBで「LISMO」

» 2008年09月25日 15時56分 公開
[岡田有花,ITmedia]
画像 au BOX

 KDDIは9月25日、家庭用テレビ向けセットトップボックス(STB)「au BOX」を発表した。au携帯電話契約者専用で、コンテンツ配信サービス「LISMO」の動画や楽曲を購入して携帯に転送したり、CDをリッピングして携帯に転送する――といったことが可能だ。

 「自分用PCは持っていないが、LISMOのPC向けコンテンツサービスを楽みたい」という人向けで、メインターゲットは10〜30代のauユーザー。携帯コンテンツ感覚で気軽に使ってもらえるよう、レンタル料金は月額315円に抑えた。

 携帯ユーザーのARPU(加入者1人当たりの売上高)減少が続く中、LISMOを通じたコンテンツ販売を拡大し、売り上げを伸ばす狙いだ。13カ月未満の利用で解約した場合は解約料5250円が必要。継続的に利用してもらうことで、au携帯の解約率低下につなげる。

 FTTH回線「ひかりone」専用ビデオオンデマンド(VOD)サービスにも対応したほか、au BOXユーザー向けに、ADSL接続サービスを割り引いて販売する。au携帯の3000万ユーザーをADSLやFTTHに誘導し、固定回線のシェア拡大にもつなげる考えだ。レンタル受け付けは11月1日から。


画像 CD/DVDプレーヤーを内蔵した
画像 リモコンには携帯電話と同じ配置のテンキーを付けた
画像 au oneポータルにアクセス。Webサイト閲覧時の文字入力は、リモコンから携帯感覚で操作できる

 au BOXはモトローラ製STB。約266(幅)×80(高さ)×221(奥行き)のホワイトボディに、CD/DVDプレーヤーと、サラウンド再生できるスピーカーを内蔵した。単体で、CDをリッピングして携帯や「ウォークマン」に転送したり、携帯に保存した着うたを内蔵スピーカーで再生したり、DVDを再生できる。

 有線LANにつなげば、「LISMO」で楽曲や動画をダウンロード購入できるほか、ポータルサイト「au one」からWebサイトの閲覧も可能。購入したコンテンツは携帯に転送して楽しむこともできる。

 VODサービス「ひかりoneTV」に契約すれば、40チャンネルの多チャンネル放送を利用できる。

テレビを新たな販路に

画像 auのARPU推移(2008年4〜6月期決算会見資料より)

 auを含む携帯電話のARPUは減少が続いている。同社の小野寺正社長は昨年の決算会見で「コンテンツ提供や課金代行など、通信料以外の部分で収益を増やす必要がある」と述べ、コンテンツ販売に力を入れてきた。

 同社のコンテンツ販売プラットフォームがLISMOだ。130万楽曲をダウンロードできる「more for LISMO」を展開しているほか、6月からは動画配信「LISMO Video」も始めた。ただLISMOは、フル機能を利用するにはPCが必須。同社が今後特に力を入れるというLISMO Videoも、携帯で楽しむにはPC経由で動画を転送する必要があった。

 auは若年層に人気のブランド。PC保有率は他キャリアより低いとみられる。同社の調査によると、自分の部屋にテレビがある人は全体の82%いるが、自分専用のPCがある人は43.5%とその約半分。高校生に限定すると、PC保有率は約2割という。「部屋にテレビはあるがPCはないという客がいる」と、同社の高橋誠・コンシューマ事業統括部長は話す。

画像 部屋着のパジャマ姿の南さん

 au BOXで「部屋にテレビはあるがPCはない客」にもLISMOコンテンツを購入してもらう狙い。購入代金はau携帯の月額料金とまとめて決済でき、クレジットカード登録などは不要。カードを持たない若年層にも気軽に利用してもらえると期待する。

 au BOXユーザー向けに、無料の情報誌とDVDをセットにした「U.」も月刊で発行。DVDに着うたや動画クリップなどプロモーションコンテンツを収録し、コンテンツを拡販する。

 発表会にはタレントのアッキーナこと南明奈さんが登場。「家に帰ったらすぐにテレビをつけるので、こんなサービスがあるとうれしい」などと話した。

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