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「auらしさ、失われていた」と小野寺社長 KDDI好決算、課題は

» 2008年04月24日 20時42分 公開
[岡田有花,ITmedia]
画像 小野寺社長

 KDDIが4月24日に発表した2008年3月期通期の連結決算は、営業利益が前期比16.2%増の4005億円と初めて4000億円を超え、5期連続の増収増益となり、au携帯の契約者数は3000万を突破した。だが端末投入の遅れなど課題も見え、決算会見で同社の小野寺社長は「auらしさが失われていた部分がある」などと語った。

 営業収益(売上高)は3兆5963憶円(前期比7.8%増)、経常利益は4079億円(16.2%増)、純利益は2178億円(16.6%増)。

 auブランドの携帯電話の累計契約数は3010万人と、目標にしていた3000万人を突破。携帯事業の増収増益が好業績をけん引した。だが契約者増に伴う販売コストなどが増加したことで利益が当初予想を下回り、営業利益は当初予想から135億円減、最終利益は22億円減となった(関連記事:KDDI、利益見通しを下方修正 契約者増で販売コストかさむ)。

 第3四半期(3Q)まで低減傾向だった販売奨励金は第4四半期(4Q)に急増。「3000万契約達成を目指したことで、奨励金が想定以上にかかった」と小野寺社長は認める。契約数を増やすためにプリペイド携帯を無料配布する事態も報じられ、小野寺社長は2月の会見で「異常なやり方は止めにかかっている」と話していた。4Qの販売奨励金急増には、プリペイド契約の影響などはないとした。

 課題を問われ、小野寺社長はW42Kの電池パック回収問題や、プラットフォーム「KCP+」の遅れによる端末出荷遅れなど「商品管理が甘くなっていた部分がある」と振り返る。

 さらに「auの“先進的”という特徴が少し失われていた。今期はauらしさをきっちり追及していく」とコメント。ドコモのブランドロゴ変更に言及し、「ドコモは既存客を囲い込む方が重要という方向性だが、当社は既存の客を守っていくと同時に、新規の客を取っていく」と話した。

 次世代高速通信について同社は、CDMA2000の後継となる「UMB」(Ultra Mobile Broadband)を採用せず、NTTドコモやソフトバンクモバイルと同じLTE(Long Term Evolution)採用を検討していると報じられている。小野寺社長は「UMBもLTEも技術的差異はほとんどない。最終的にはマーケットを見ながら決めるが、今のマーケットを見ればお分かりいただけるのではないか」と話した。

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