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ネットいじめが日常化する米国のティーンエージャー――UCLA調査

» 2008年10月07日 07時40分 公開
[ITmedia]

 米国のティーンエージャー(12〜17歳)の4人に3人が、過去12カ月間で少なくとも1度はネットでのいじめを体験しているが、親や教師などにその事実を相談しているのは10人中1人だけ――。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の心理学教授らが10月2日、調査結果を発表した。

 ネットでいじめを経験した子供のうち、85%は学校でもいじめに遭っていた。また学校でいじめに遭っている場合、ネットでもいじめに遭う確率がかなり高かった。調査を担当したUCLAのジャーナ・ジュボネン心理学教授は、インターネットは子供たちの学校での友達付き合いと切り離せないとし、ネットでのいじめは学校でのいじめとよく似ているという。

 調査は、子供たちに人気のWebサイトで、2005年8月から10月にかけて参加を呼び掛け、協力を申し出たティーンエージャー1454人を対象にWebで無記名で行われた。

 調査対象者の41%は過去1年間で1〜3回、13%は4〜6回、19%は7回以上のネットいじめを経験したと答えた。しかし多くの子供たちは自分だけがいじめに遭っている、原因は自分にあると考えている。

 親にいじめの事実を報告しない理由は、「自分で解決する方法を学ぶ必要があると思うから」が最も多く、約半数。次いで多かったのが、親に話せばネット利用を制限されるからというもので31%だった。ネット利用の制限を恐れる傾向は特に12〜14歳の少女に強く46%に上り、一方同年齢の男子では27%だった。また12〜14歳の3分の1が、親にしかられたくないので報告しないと答えた。

 多くの親は、子供たちにとってネットが、友達付き合いに欠かせないものであることを理解していない、とジュボネン教授は指摘する。子供をネットいじめから守るには、ネットを使わせないのが一番と考えがちだが、それでは親子関係、また子供の友人関係の改善にはつながらない。

 一般にネットがいじめの性質を変えたといわれるが、今回の調査からそうではない実態が浮き彫りになっている。調査対象者の51%は、ネットいじめの相手は学校の友人だとし、オンライン上のみの知り合いだと答えたのは43%、学校外の知り合いという回答は20%だった。

 学校でのいじめと、ネットいじめの最も一般的なものは言葉でのいじめやあだ名で、ネットいじめの2位はパスワード盗難だった。そのほかには、脅し、相手を辱める写真の送信、本人の許可のない個人情報の流布、根も葉もないうわさの流布など。

 ネットいじめの危険性には、学校と親の注意が必要だとジュボネン教授。学校はいじめとネットいじめの両方を減らすための対策をとり、親は子供が自分の寝室にこもってネットに接続するのを見逃すべきではないというのが同教授の主張だ。

 「いじめは数人の運の悪い子供たちだけに起こる問題ではなく、多くの子供たちが日常的に直面している問題」であり、いじめに遭った当人は傷つき、学校に行くのがいやになるとジュボネン教授はいう。また親や教師にも相談できず、自分の殻に閉じこもる率が高いと指摘する。いじめに遭うと、頭痛や風邪などの身体的疾患に発展したり、精神的な問題を引き起こしてしまう場合もあるとしている。

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