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「mixiを小さなインターネットに」 招待制・“18禁”廃止の狙いを笠原社長に聞く(2/2 ページ)

» 2008年11月27日 22時43分 公開
[岡田有花,ITmedia]
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 ユーザー層拡大のため、以前から18歳未満への開放を検討していた。低年齢層に広げることで、親子間コミュニケーションでの活用も期待できる。だが既存ユーザーからは「未成年がコミュニティに入ってくれば荒らされてしまう」と心配する声もあり、慎重に検討してきた。

 今回、まずは比較的リテラシーが高いと考えられる15歳以上に開放。トラブルを防ぐため、ユーザーサポート体制を大幅に強化する。18歳未満のユーザーは日記がデフォルトで「マイミクのみに公開」になるほか、コミュニティの閲覧・投稿はできない、友人検索の結果に表示されない――といった強い制限も加える。代わりに18歳未満限定サービスを提供するなどし、正直に年齢を申告するインセンティブを作る。

 「モバゲータウン」や「GREE」では、充実したアバターやゲームが未成年を引きつけている。だがmixiはアバターを導入する予定はないもなく、ゲームを必要以上に増やす計画もないという。

 「アバターを使ったSNSはより匿名性が高く、バーチャルなコミュニケーションツールになっているが、mixiは同じ学校の友達や親子など、リアルな人間関係をつなぐコミュニケーションツール。仮想空間は目指さない」(笠原社長)

ユーザー増の先にある「オープン化」

画像 「mixiを、携帯メールより身近なツールにしたい」と原田事業部長

 招待制を廃止したり未成年に開放しても、ユーザー増のペースが急速に速まるとは考えておらず、入会キャンペーンのようなことを行う予定もないという。「mixi本来の楽しみ方をしないような“間違った”使い方のユーザーを急に増やしても意味がない。じわじわ広げたい」(笠原社長)

 ユーザー層拡大の狙いは、友人や家族、趣味の仲間など、現実の人間関係に裏打ちされたソーシャルグラフを広げること。背景にはサービスのオープン化――mixi Platformの拡大戦略がある。

 mixi Platformは、Googleの「OpenSocial」に準拠したSNSプラットフォーム。すでにOpenIDに対応したほか、来春には、外部の開発者がmixi用のアプリケーションを開発できる「mixiアプリ」と、mixi以外のサービスや端末などでmixiのデータを活用できる「mixi Connect」を本格スタートする。開発者はmixiユーザー向けに多様なサービスを開発でき、広告や課金などで収益も得られる。

 mixiアプリでは例えば、マイミク同士で対戦できるゲームや、限定したマイミクだけで共有できるスケジューラーなどが開発されると期待する。mixi Connectでは、mixiのフォトアルバムの写真をPCに接続したフォトフレームで再生したり、ネット対応テレビで閲覧したり――といったサービスの登場も期待。開発パートナーに資金援助するファンドも設立するという力の入れようで「新しい市場を作っていきたい」と笠原社長は意気込む。

 「ユーザー層拡大とmixi Platformは車の両輪」(笠原社長)――mixi Platformで有用なアプリが開発されても、使ってくれるユーザーがいなければ意味がない。ユーザー層を拡大し、“マイミク未満”の関係まで包括する巨大なソーシャルグラフを構築すれば、それぞれの人間関係でサービスへのニーズが生まれ、mixiアプリやmixi Connectの利用が活性化すると期待する。ユーザーやアプリが増え、コミュニケーションがさらに活発になれば、アプリへの課金や広告閲覧数増加が同社の収益拡大にもつながる。

 ユーザー層拡大とオープン化で、mixiは「小さなインターネット」を目指す。「インターネットというプラットフォームの上に、人間関係を基軸にした小さなプラットフォームができるイメージ。リアルな友人知人、家族がつながるコミュニケーションインフラにしたい」(笠原社長)

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