米Amazon.comが2月13日にMorgan Library and Museumで開いた携帯電子リーダー「Kindle 2」の発表会で、ジェフ・ベソスCEOは新機能であるテキスト読み上げ機能にスポットを当てた。これは電子音声で文書を読み上げてほしい人には朗報だが、著作権法違反の可能性もあると米作家協会(Authors Guild)は言う。
作家協会によると、Kindle 2の読み上げ機能によってオーディオブックの売り上げが激減する可能性がある。スティーブン・キングの新作よりもその方が怖い話だと作家協会が思ったのは間違いない。
Kindle 2はiPhoneよりも薄く幅0.36インチ(約91ミリ)で小売価格は359ドル。白黒画面搭載で、バッテリー持続時間はこれまでのモデルより25%長い。ユーザーが利用できる1.4Gバイトのメモリを備え、会社の文書を保存する役にも立つ。
しかし現在論議の中心となっているのは、男性または女性の単調な電子音声で画面の内容を読み上げる機能だ。これにより、文書が文字で販売されたものであっても実質的にオーディオブックになってしまう。
作家協会のWebサイトには次のような談話が掲載された。「電子書籍とオーディオブックのセット販売については業界の中で長年論議されてきた。いいアイデアではあるが、電子書籍のディストリビューターによる独断で実現されるべきものではない。われわれはこの件についてじっくり研究し、後日お知らせする」
しかしこの談話では、同協会が起こす構えの訴訟については触れていない。Webサイトによると、作家協会は著作権保護、契約、「表現の自由」の分野で作家の権利を守る活動をしている。
作家協会が提訴するとしてもしないとしても、論拠は弱いと見る専門家もいる。
「テキストの読み上げは、書籍の部数が増えることや、Kindle上の作品を他人のために読み上げることにはつながらない。普通、著作権が発生するのはそういった場合だ」。ニューヨーク・ロースクール情報法政策研究所のジェームズ・グリメルマン助教授はインタビューでこう指摘した。
「作家協会の論理は、(テキスト読み上げによって)書籍をベースとしながらもそれとは違う『派生的作品』が作り出されるというものだ。この論理の問題は、例えば小説を原作とする映画に脚本、編集、音楽などがあるように、新たな独創性が加えられない限り、派生的作品は生まれないとした判例があることだ」(グリメルマン氏)
単語を機械的にコンピュータ音声に変換しても、そのような独創性が加わることはないだろうというのがグリメルマン氏の見方だ。
Kindle 2の発表以降、Amazon.comは保護用のレザー/ポリエステルカバー、クリップオンライトといったアクセサリの売り出しを始めている。
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