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Windows 7の普及、Vistaよりも進むか?

» 2009年08月19日 07時30分 公開
[Don Reisinger,eWEEK]
eWEEK

 Windows 7の発売まで2カ月あまり。Microsoftは話題作りのためにできることはすべてやっている。その一方で、古くなったWindows XPマシンにうんざりしてきている企業は、Windows 7の登場を待ちわびている。

 昨年、Windows Vistaには問題があるため自社ネットワークには導入しないと認めて話題になったIntelも、Windows 7の導入見込みについて積極的に発言してきた。

 Intelは先月のTechnology Summitで、Windows 7の市場への影響を考えると、「大きな明るい点」が見えると語った。同社は、Windows 7があらゆる点でWindows Vistaを優にしのぐと確信している。もっと重要なのは、同社のショーン・マロニー氏が、「今回は(Windows 7は)もっと急速に普及するだろう」と語ったことだ。

 この点は興味深い。Vistaの採用状況はひどいものだ。Microsoftは市場でのVistaの人気を高めようと頑張ったが、互換性の問題や搭載ハードのコストの高さへの不安から、導入を見送った企業は規模の大小を問わず幾つもある。こうした企業は、競合他社に実際にトラブルをもたらしているOSに乗り替えるよりも、Windows XP――ちゃんと動くと分かっているOS――を使い続ける方がいいと判断した。

 とは言え、Intelが自社の従業員にWindows 7コンピュータを支給すると確約したことはMicrosoftには朗報だ。Intelは、Vistaの導入を控えていたほかの多くの企業も、Windows 7には満足するだろうと考えている。

 だがVistaはどうなるのだろう? MicrosoftはVistaが完全な失敗に見えてしまうことは望んでいない。Windows 7発売まで2カ月あまりとなった今、MicrosoftがVistaを生かしたいと思っているのであれば、同社の時間はなくなりつつあるようだ。おそらく同社はVistaをかなり割引し、Vistaマシンを購入すれば無料でWindows 7にアップグレードできると企業や消費者に必死で訴えるだろう。それで幾らか面目は立つかもしれない。それによって、できるだけ現金を節約したい企業により多くのコンピュータを送り込む可能性もある。

 もっとも、そうならない可能性もあるが。

悪いニュース

 最近の調査によると、Windows 7はVistaよりも優れていると広く評価されているが、ほとんどのIT管理者はまだ同OSに乗り替えたくないと考えている。

 ScriptLogicの調査では、10社中6社が、10月にWindows 7がリリースされた時点ではコンピュータをアップグレードしないと答えた。調査に参加した1000社のうち約60%が、大きな懸念材料としてWindows 7の導入コストと、現在使っているハード・ソフトとの互換性に関する不安を挙げた。さらに回答者の42%は、「時間とリソースがない」ことを乗り替えない理由として答えている。しかしこれら企業の一部は、いずれ時期が来ればアップグレードするつもりだとしている。

 それでも、これはMicrosoftにとっては危険な結果だ。同社はVistaで犯したミスを修復することにかなりのエネルギーを投じてきた。Windows 7のXPモードにより、ほとんどの企業は互換性問題に対処できるはずだ。さらにMicrosoftの大幅値下げ――手っ取り早く顧客を引きつけるために利用されてきた手だ――は、Vistaを高値で発売するという自らの決定に対処するための策だ。

 だがMicrosoftにとって残念なことに、同社に不利に働く要素が幾つかある。不況は依然として企業に大損害を与えている。Vistaで問題が発生したことから、新しいWindowsの導入に慎重になっている組織もある。最悪なのは、XPに満足している企業があるということだ。彼らにはアップデートする理由が何もない。

いいニュース

 こうした要素はMicrosoftにとって不安の種だが、いつまでも採用が進まないとは考えにくい。Windows 7を使ったことがある人は皆、同OSがVistaよりもずっといいことを知っている。XPモードは無視できない重要な機能だ。一部の企業は不況のトンネルの出口を目にしている。Microsoftが待つことさえできれば、今XPマシンを使っているほとんどの企業が、今後もコンピュータをアップデートせずに済むという可能性はほとんどない。

 だからおそらく、Microsoftにとっては根比べとなるだろう。Deutsche Bankが最近、IT管理者に企業ネットワークのWindows 7移行計画について尋ねた調査で分かったように、Microsoftにとっては忍耐が美徳となる。

 「Windows 7の普及率はVistaのレベルを超え、XPやWindows 2000が2年かけて到達した普及率を12〜18カ月で達成する可能性がある」とDeutsche Bankの報告書にはある。

 この結果は、XP並の普及率をすぐに達成したかっただろうMicrosoftにとって理想的ではないかもしれないが、Vistaよりはいい。

 Microsoftにとっては幸いなことに、Windows 7はVistaの大きくて恐ろしい影の下から抜け出すことになりそうだ。

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