Microsoftは、Windows 7はVistaの汚名をすすぐだけでなく、企業や消費者の大規模なPC買い換えを促進して、同社の低迷気味の業績を押し上げると見込んで大きな賭に出た。同OSが2009年10月に発売されて以来、この賭けの大半は成就したようだ。世界的不況を受けて、企業のIT支出はいまだに活発でないが、MicrosoftはWindows 7のライセンスがおよそ9000万本売れたとしている。
この成功の一部は、全般的にIT機器の買い換えが必要になったことによるものだろう。Windows 7が発売されるまで、世界のPCの大多数は約10年前にリリースされたWindows XPを使っていた。さらに多くのユーザーのマシンは老境にさしかかっていた。だがWindows 7には、XPアプリケーションとの後方互換性を高める機能やスムーズなユーザーインタフェースなど、ユーザーを引き込む機能も備えていた。だが、あらゆる大型システムと同様に、問題や欠点が出てくるのは避けられない。
「わたしが聞いたWindows 7の評判はいずれもポジティブだった」とEndpoint Technologies Associatesのアナリスト、ロジャー・ケイ氏は4月21日付のeWEEKへの電子メールで述べている。「もちろん、Vistaがどれほどひどかったかという文脈でだ。だがWindows 7は少々遅れていると言える企業のPC買い換えへの道を開いている」
Windows 7が発売されてから数カ月がたち、Service Pack(SP)1が開発中とうわさされている今、同OSの最初の段階で、IT管理者たちがどのような問題に遭遇しているのかを振り返る価値はあるはずだ。
Windows XPを使っている大手企業やSMB(中堅・中小企業)の数を考えると、IT管理者の不満の中心となっているのが、XPからWindows 7へのアップグレードパスがないことなのは意外ではないだろう。
「知り合いの多くは、XPからWindows 7への直接のアップグレードパスがないのを、MicrosoftのVistaを拒否した顧客への『報復』と考えている」とオーバーン大学のResearch Electronics Support Facilityでエンジニアとディレクターを務めるヘンリー・コッブ氏は1月に語っていた。「Microsoftが対処するべき唯一の、最重要の問題ではないかと思う」
当時コッブ氏とその同僚は、Windows 7を評価中で、標準的なXPアプリケーションはWindows 7にスムーズに移植できることを発見した。だが同氏は、Windows 7のフットプリントにちょっとした懸念も持っていた。
「Windows 7の『膨張』は、コード開発に多くの人がかかわったことによるのだろう」と同氏。「同OSを早く発売するためにそうしたのだと確信しているが、その結果、コードの重複やどうでもいい機能ができている」
問題を複雑にしているのが、Windows XPのサポートが次第に終わりに近づきつつあるということだ。同OSのSP3の延長サポートは2014年4月に終了する。Windows 7リリースの数日前のプレゼンテーションで、Gartnerのアナリストは、2011年末ごろから独立系ソフトベンダー(ISV)がXPをサポートしなくなり、2012年末までにはXPアプリケーションに「危険ゾーン」のようなものができると指摘した。
Vistaが古いアプリケーションと互換性がなかったこと、その結果世間からたたかれたことを懸念し、MicrosoftはWindows 7にXP Modeを組み込んだ。仮想化されたWindows XP SP3環境でアプリケーションを実行する機能だ。この機能はWindows 7 Professional、Ultimate、Enterpriseエディションで利用でき、Windows 7タスクバーを右クリックして起動できる。
だが一部のIT管理者や企業オーナーは、XP Modeの起動と実行が遅いとしている。
「1台のマシンをバーチャルXPに設定したが、遅くて不正確だった」とアリゾナ州の Financial Safeguards Groupの責任者ロイド・ハドソン氏は1月に電子メールで述べていた。「可能なら、Windows 7にもっと後方互換性を持たせる必要がある」
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