まるで大学のキャンパスのよう――中国最大級のネット企業・Alibabaグループ本社はオフィスは広大だ。東京ドームの約2.5倍・12万6000平方メートルの敷地内に、真新しく大きな7棟のビルが立ち並び、バスケットコートやジム、図書室なども備えている。
上海市から車で約3時間、浙江省の省都・杭州市内に昨年9月に完成したばかりで、グループの約半数・9000人(平均年齢は26歳)の従業員が働いている。
ビルには白い網の目のようなフレームが張り巡らされている。北京五輪の「鳥の巣」(北京国家体育場)を思わせるデザインで、実際、同じデザイナーが手掛けたという。
中庭から見える柱には、「集体婚」と書かれた赤い装飾が。集体婚は、合同結婚式という意味。「5月始めに、社員の合同結婚式をしたばかりなんです」と、同社の女性社員が説明する。小旅行など社員イベントもひんぱんに開催。社員同士のつながりを深めることで、会社へのロイヤリティーを高めているようだ。
Alibabaグループは1999年に創業。世界240カ国で使われているというB2BのECサイト「Alibaba.com」のほか、中国最大のECサイト「タオバオ」(TaoBao)や、クラウドコンピューティングサービスを展開。「Yahoo!中国」も買収して傘下にしている。中国ネット企業では、検索のBaiduと並ぶ2大巨頭だ。
創業者のジャック・マーCEOは、杭州出身の元英語教師。流ちょうな英語を操るが海外留学経験もない、“地元密着”リーダーだ。北京や上海に本社を構えるネット企業も多い中、地元にこだわり、杭州に本社を構えたという。
オフィスは杭州の中心部から車で10分ほどの郊外にあり、バスケットコートや卓球台、簡易ジム、図書室、食堂、簡易郵便局、スターバックス、コンビニエンスストアを完備。バスケットコートや食堂、ジムは休日も利用できるという。
社員が気持ちよく働ける環境整備に努めており、社員のきずなを深めるための小旅行やイベントなどもひんぱんに実施。イベントは上層部と現場との距離を縮める役割も果たしているようで、経営幹部が社員に料理をふるまうこともあるという。
「集体婚」こと合同結婚式は年1回、5月に行われる。結婚する社員が衣装を借り、オフィスの中庭で式を挙げる。費用はすべて会社持ちで、結婚相手は社員でなくても参加OK。今年は50組ほどが参加し、親類や友人などが多くの人でにぎわったという。
社員が働くエリアは壁も少なく広大で、大きな窓から光が差し込み、天井は高く開放的。向かい合う机は低いパーティションで仕切られており、小型の観葉植物が置かれている。「観葉植物は空気を良くし、落ち着ける」(Alibaba.comのソン・ジョン副社長)と考えて会社が支給。自分で持ち込む社員もいる。机には何を置いてもいいようで、水槽で魚を飼う社員までいる。社員がデスクトップやノートPCで作業する様子は、日本のネット企業と変わらない。
同社は創業直後からソフトバンクの出資を受け、08年からは日本で本格的に事業展開。中国企業の商品を日本に紹介するサイト「Alibaba Japan」を運営するなど日本との関わりも深い。オフィスには、東京大学卒業で現地採用という若い男性社員もいた。
グループ全社員のうちエンジニアは約2割、約3500人。地元では人気企業という。
広大なオフィスだが「予想より社員の増加スピードが早く、もう満杯になりそう」で、さらに3倍の広さの敷地をすでに購入し、新しいオフィスを作る予定だという。
Alibabaグループで、中国最大のECサイト「タオバオ」(Taobao)を運営するTaobaoのオフィスは、杭州市内の複数のビルに分散している。
そのうち1つを訪れた。エントランスはオレンジを基調にしたポップなデザインで、社員の写真が飾られ、タオバオを利用できるPCが置かれている。ヤフーやミクシィ、Google日本法人など、日本のネット企業のオフィスに近いイメージだ。
同社は5月9日、10日の2日間にかけ、杭州市内随一の観光スポット・西湖ほとりの公園で、Taobao出店者が商品を実店舗で販売するイベント「Taobao Live!」を開催。約20店舗の法人と、数十人の個人が出店し、音楽やダンスイベント、コスプレファッションショーも開催。多くの人でにぎわった。
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