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著作権侵害は「厳しく規制」、テレビ局も個人もカバー Ustream日本版の“全方位戦略”(2/2 ページ)

» 2010年06月01日 12時18分 公開
[岡田有花,ITmedia]
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広告ビジネスをメインに 有料配信も

 収益は、広告と、有料配信のレベニューシェア、インフラ提供(Watershedと呼ばれるサービス)から得る計画。広告収入がメインになると見込んでおり、媒体となる動画の質・量強化と合わせ、広告展開を拡大していく。

 現在は各ページや動画に重ねてAdSense広告を表示。今後、国内の主要なアドネットワークも利用する予定だ。ページや番組を丸ごと買ってもらい、スポンサードという形で展開する広告も検討している。

 音楽ライブを配信し、関連するライブのチケットを販売する――といった手法も検討。「Yahoo!動画」「GyaO!」での経験を生かし、日本発の広告商品も作りたいという。

 Ustreamの広告効果は「高いと思っている」。Twitterなどを通じて興味のある内容を能動的に見に来た人に広告を見せれば、なんとなく付けているテレビで広告を流すよりも興味を持って見てもらえるためだ。

有料配信で「塾講師も腕一本で稼げる」?

 動画の有料配信も行う予定だ。スポーツ中継や音楽ライブといったメジャーコンテンツから、ビジネスセミナー、塾講師による講義といった特定ターゲット向けまで、あらゆるコンテンツで有料配信が可能とみており、価格も柔軟に決められるようにする。「塾講師や家庭教師が、個人で全国の生徒を有料で教え、腕一本で稼ぐといったことも可能ではないか」

 動画配信者用の有料サービス「Watershed」も展開。動画から広告を削除したり、画面に企業ロゴを入れるなど配信プレーヤーをカスタマイズしたり、認証ユーザーのみ視聴可能にしたり、視聴者数を解析したり――などの機能を使えるサービスで、個人から大企業までさまざまなユーザーの利用を想定している。

ニコ生やStickamはライバルか

 日本のライブ配信サイトでは、「ニコニコ生放送」や「Stickam JAPAN!」などがあるが、Ustreamはポジションが微妙に異なるという。

 「両者はある側面から見ればライバルかもしれないが、われわれが目指しているのはライブ配信のプラットフォーム。他のライブ配信サイトが目指しているような、配信サービスそのものや、1つの放送局のようなものではない」


画像 Stickam JAPAN!
画像 ニコニコ生放送

 日本のライブ配信サイトだけ見ても市場が小さすぎるため、「他社と背丈を比べ合っていても仕方がない」という思いもある。「数千万ドルもの投資をしたのは、小さなビジネスを展開するためではない。YouTubeなど動画配信市場全体や、ネット広告市場全体で、どうシェアを取っていくか考えたい」

 ライブ配信サイトとして見た場合も、Ustreamはタイガー・ウッズの謝罪会見やオバマ大統領の演説といった米国のメジャーなコンテンツが無料で視聴できるなど、日本発のサービスにはない国際性が差別化の武器になるとみている。

「日本で主導権を持つ」

 Ustream Asiaは、資本金・資本準備金合計4億円のうち、TVバンクが60%と過半を出資。まずは「数十人の下の方」の人員で運営していく。

 「子会社設立で一番こだわったのは、現地でマジョリティーを取ってディレクションすること。Ustream本社は米国を中心とした中央集権的な展開を考えているが、アジアのビジネスを西洋人がコントロールしてもうまくいかないこともある」。米Yahoo!との合弁ながら日本独自の展開で成功したYahoo!JAPANのように、日本に合わせた独自の戦略を採る方針だ。

 ソフトバンクグループはアジア進出を強化している。Ustreamも日本での事業が落ち着けば、韓国や中国などアジア各国に進出する計画だ。最大市場と期待する中国はまだUstreamが視聴できないなど参入が難しいため、ブロードバンドインフラも整っている韓国や台湾からまず進出していくことになりそうという。

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