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» 2010年12月01日 08時10分 公開

最大のサプライズはAndroid躍進 2010年のIT業界トレンド (2/2)

[Wayne Rash,eWEEK]
eWEEK
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 だが、コンシューマー向けデバイスだけではない。「わたしから見て際立っていたのは、クラウドコンピューティングへの移行が続いていることだ」とeWEEK Labsの編集長ジェイソン・ブルックスは語る。「ほとんどの大手ITベンダーが移行を推進しているようだ」

 「Microsoftがどれだけ熱心にクラウドを支持しているかを考えている」とブルックスは言う。「同社はコンピューティングに多額の投資をし、自社のサーバ製品とデスクトップでクラウドを支持してきた。Small Business Serverのような製品はオンプレミス(自社運用型)だが、今はMicrosoftがホスティングするバージョンもある。クラウドブームに対する疑念もかなりあるが、Microsoftは『全部入り』クラウドを語っている」

 「クラウドに対する理解は進んでいる」とクラウドコンピューティングを担当するeWEEKのシニアライター、クリス・プライメスバーガーは語る。「数年かかったが、人々はクラウドを導入している」

 Novellのデータセンター管理ディレクター、ベン・グルビン氏も同意見だ。「われわれが目にしてきたのは、クラウドが宣伝の手段を脱し、ITの配信メカニズムに達するという構造的シフトだと思う」

 現在、公開クラウドに対するセキュリティと管理の懸念から、ほとんどはプライベートクラウドの構築が中心だとプライメスバーガーは語る。「プライベートクラウドに、すべての大手システムベンダーが賭けていると思う。彼らは皆、顧客にプライベートクラウドを作りたいと考えている。これはまさに、違う種類のファイアウォールを備えたデータセンターのようなもので、必要に応じて外部のサービスを追加できる」

 プライベートクラウドが拡大しているということは、あらゆる規模の企業に向けたプライベートクラウドサーバがあるということだと彼は言う。Novellのグルビン氏は、規模が比較的小さい企業にとっては、おそらくはMicrosoftのHyper-Vへの移行を意味するだろうと付け加えている。ライセンス条件が魅力的だからだという。「6月までに、Microsoftは市場シェアを24%に増やした」

 クラウドコンピューティングの重要性は、OracleのSun Microsystems買収と大いに関係があるとプライメスバーガーは指摘する。「Oracleは今やIBM、HP、Ciscoに続いて第4位のシステムベンダーだ。クラウドについて言えば、今後はOracleとSunもこの分野に含まれるだろう」

 クラウドコンピューティングとストレージはIT部門において大きな役割を演じているが、比較的小規模な企業にとっても重要な要素であり、場合によっては、コンシューマー製品と(企業向けの)IT製品の境界線を消す一助になっている。

 クラウドコンピューティングはIT部門にかかわるものだが、企業に進出している新たなコンシューマー製品とも結びついているとブルックスは指摘する。彼はInternet Explorer(IE)に加えてFirefoxやSafariもサポートするMicrosoftの新たなクラウドコンピューティングへの取り組みを挙げ、AppleのiOSなどのコンシューマー向けプラットフォームが、Microsoftの包括的なアプローチを推進する上で演じる役割を示唆した。

 「Microsoftはクライアントを押さえようとしてきたが、顧客がほかのものを選びたがったらどうなるのか?」とブルックスは問いかける。「強力な代替クライアントが存在する今となっては、ベンダーが顧客の選択肢に融通を利かせることがより重要だ。Appleは選択を強制してきた」

新たなリスク

 これらのクライアントプラットフォーム、iPhone、iPadは、企業へのコンシューマー製品の進出という幅広い流れの一部だ。こうした流れは企業に新たな可能性をもたらすが、新たなリスクも生み出す。

 「セキュリティの点では、少々いやなニュースだ」とTrusteerのアミット・クラインCTO(最高技術責任者)は言う。「このシナリオで重要な意味を帯びてくる不正なソフトや脅威を抑えられなくなる」と同氏は語り、USBメモリのようなコンシューマー製品が、ZeusやStuxnetのまん延に大きく貢献したことを指摘する。

 だが、そうしたリスクを考えても、ほかの手段ではできないことがこなせるコンシューマー製品を受け入れようとする流れは強力だ。「米国の営業チームすべてにiPadを支給している」と医療機器メーカーMerit Medical SystemsのWebシステムディレクター、リンカーン・カノン氏は語る。

 「われわれは既に、オフラインでもiPadで使えるアプリを探している」。iPadがインターネットにつながっていないときでも同氏の要望をかなえられるカスタムアプリを、スタッフが開発中だという。

 カノン氏は、自身のビジネスの性質から、iPadとクラウドを結びつけるのは理にかなうと確信している。業績にもいい影響があると考えている。「営業部員にクラウドアプリケーションについての意見を聞いている。iPadの導入についても聞く予定だ。それからこれらの新しいツールの影響を把握する」

 ソフト企業Knoa Softwareのマーケティング責任者ロリ・ウィズド氏は、コンシューマー製品を取り入れる動きは、誰にとっても意外ではないはずだと語る。「コンシューマー製品は企業に入り込んでいる。こうした製品の方が優れているからだ。人々は、仕事をもっとうまくこなしたいからこれらのツールを使っている」

 同氏は、ほとんどの人の目標は、何でもいいから手元にあるツールを使って、仕事をできるだけうまく、早く終わらせる方法を見つけることだと指摘する。同氏は、コンシューマー製品は技術革新が急速に進んでおり、機能的に最も優れていることも多いとし、「すべての革新は個人から始まる」と付け加えた。

 最後に、ウィズド氏によると、今年革新と成長への道を開いているのは、コンシューマー製品と企業のIT製品――そして中央管理型の運用とクラウドベースの運用――の境界線が消えつつあることだという。

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