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「経団連はええかげんにせえ!」「脱依存の社会を」──孫社長と小林武史さん、自然エネルギーを語る(1/3 ページ)

» 2011年06月27日 19時19分 公開
[ITmedia]

 「原発の依存度は下げなければならない」「みんなが選択していくことが民主主義的プロセスとして望ましい」──ソフトバンクの孫正義社長と、音楽プロデューサーの小林武史さんが自然エネルギー問題について語り合うイベントが6月24日に都内で開かれた。

photo 自然エネルギーについて語り合った孫社長と小林さん

 ソフトバンクはイベントの前に開かれた定時株主総会で、自然エネルギーによる発電などの電力事業を新たに定款に加えることを決めた。7月に発足する「自然エネルギー協議会」には福島県を含む35道府県が参加を表明。孫社長は2020年までに全体の30%を自然エネルギーでまかなうという計画の実現を掲げて熱く語った。

 「Mr.Children」のプロデュースなどで知られる小林さんは、非営利組織「ap bank」の活動趣旨などを説明した小林さんは「原発ができるまでにコンセンサスはあっただろうか。ぼくらは声を失っていたのではないか」と問い、「クリエイティビティ」による「脱依存」と自然エネルギーへの移行を訴えかけた。

 「孫さんはロッカーですよ」と小林さんが話せば、「僕は歌はダメなんですが、幕末志士はロッカーみたいなもんだと思っていた」などと応じる場面も。孫社長からはイベント中、「わたしも風力発電、1こはやりますからね」と風力発電参入を示唆するような発言もあった。

 イベントは首相官邸のイベントで話した孫社長と小林さんの思いつきで開催が決まったといい、アーティストのSalyuさんと一青窈さんによるライブも行われ、会場に加え、ニコニコ動画(7万5000人視聴)やUstreamでも大勢が耳を傾けた。

 孫社長と小林さんによるプレゼンテーションは以下の通り(要旨)。

孫社長「電気料金が上がると経団連の偉いさんが言ってるようだが、『ええかげんにせえ』!」

  • 3月11日の東日本大震災は人生観を変えさせられた。地震と津波と福島第1原子力発電所の事故があって、しばらく眠れない日々が続いた。自分ってなんだろう、会社って、本業って、幸せってなんなんだろうと、根底から考えさせられた。
  • 両親をなくした子どもなど、胸が痛む話がいっぱいあった。子どもが生き延びたとしても、放射線量を測りながら生きていかなければばならない。そんな事態が痛ましい。全国の母親、被災地・福島の母親は胸が張り裂ける思いでは。食べ物も安心して食べられない。それもこれも原発事故が原因だ。
  • 全部止めるというのではないが、原発の依存度は下げなければならない。では代替は? それがないのに単に批判したり、嘆くだけでは前に進まない。解決できない。解決策のビジョンを国民が共有できなければならない。
  • わたしが坂本龍馬を尊敬しているのは、龍馬が「ことをなした」からだ。維新をなすためには何が必要か、なんで維新をやるか。それは人々が平等で、笑って暮らせる国を作るのが目的で、そのために何が必要か、そこから逆算してやっていった。罪は憎むが人を憎まない、だから誰とでも手を結び、ことをなしたい、それが維新だと。
  • 現在の国難にあたり、わたしは、子どもたちが安心して笑っていられる、学校の運動場ですりむいて笑っていられる、深呼吸できる、それが1000年も持つようなエネルギーの仕組みを作らなければならないと思う。
  • 電気料金が一時的に数百円上がるとか経団連のえらいさんが言ってるようだが、わたしに言わせると「ええかげんにせえ」と。それは一時的なことではないか。長期的に新しい日本を作らなければならない。しょうもない利害を持ち込んで目をくらませてはいけない。
  • 5月25日に「自然エネルギー協議会」を設立する計画を発表した。2020年までに太陽光発電で1億キロワット、風力発電、地熱発電などで0.5億キロワット、合計1.5億キロワットを自然エネルギーでまかない、電力の自然エネルギー割合を全体の30%にするのが目標だ。こうしないと原発依存から脱却できない。
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