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元カプコン・稲船氏が独立第1弾にソーシャルゲームを選んだ“判断”(2/2 ページ)

» 2011年07月22日 18時23分 公開
[ITmedia]
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「こける怖さよりも、やらないことで成功逃すほうが怖い」

photo Dr.モモの島のイメージ

 少女が主人公という新作について「稲船らしくないと思う人もいるかもしれないが」と新作を紹介する稲船氏は、作りたいものを作るという意味では「稲船らしい」という。「稲船は多重人格的なところがあって、大手メーカーにいた時も、子ども向けゲームから血が出るようなゲーム、侍が出るようなものまで作った。捨てるのではなく作りつつ、黒澤明が好きだから侍をやるとか、好きなことをやるのは大切だ」と自ら手がけた「ロックマン」「バイオハザード2」「鬼武者」などの例を出しながら語った。

 「女の子が主人公のゲームをやったことがなかったのでやりたい。女性にも男性にも受けるゲームをやりたい。特に若い女の子にこんな女の子かわいいと思ってもらえるんじゃないかな」。新作では「すごく不思議な世界を作ろうと思ってる」という。

 ゲーム内容について、具体的な詳細は「詳しく言うとイメージがついちゃって『どうせこんなのでしょ』とネットで叩かれるんで(笑)」として明らかにしなかったが、稲船氏によるソーシャルゲームへのアプローチについて、考え方を語った。

 稲船氏によると、ソーシャルゲームは(1)気軽さ、(2)ソーシャル性、(3)バイラル性──の3つが特徴だった。これに(1)エンターテインメント性、(2)キャラクター性、(3)ストーリー性、(4)操作性──をコンソールゲームのノウハウで組み合わせることで「今までにない新しいソーシャルゲームができていくのでは」と述べた。

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 エンタメ性やキャラ、世界観などはこれまでのソーシャルゲームに足りていない部分だとみている。特に操作性については「ソーシャルゲームにアナログスティックが付くことは今後もないだろう。操作性は全く完成されておらず、自由に考えてくれという状態なので、操作性を高めていくとよりいいものになるのでは」。高性能な専用ハードによるコンソールゲームに比べると技術的制約は多いが「過去ファミコンの制約の中でやってきたノウハウあるので、それを思い出せばいいだけ、制約に合わせてゲームを考えればいい」という。

 コンソールゲームで名を馳せた稲船氏の独立第1弾がソーシャルゲームになったのは意外に思えるが、「コンソールゲームという、ソーシャルゲームとは違うゲームを作ってきて、その中で自分なりにゲームというものを理解したつもりだったが、GREEがすごい力で世間を騒がせており、ゲーム業界が注目せざるを得ない状況。ソーシャルゲームを考えていたところに小川社長の話があった」という。「世界で1億人という会員、しかも年齢層も広く、やってやるぞという気持ちになる」

 「ソーシャルゲームやってこけたよねーと言われるのは怖いじゃないですか。でもこけるつもりはないし、こけることが怖いよりも、やらないことで成功逃すことのほうが怖い。宝くじ当たった人を見て『買っておけばよかった』って言う人は嫌いなんですよ」

 第1弾は10月にもリリースし、第2弾は年内に、年明けには第3弾を計画。内容はユーザーの反応を見ながら考えていくという。「24年前に大手メーカーに入ったが、そのころはファミコン全盛期。ファミコンのゲームは3〜6カ月という、ソーシャルゲームと似た感じで作っていた。でも今は3年ゲーム会社にいてもゲームが出ていないという人もいる。これは経験に大きな差が付く。1つのゲームを仕上げることの経験値は大きい」。ユーザーの反応を見ながら短期間に1つ1つ開発していくことで「ユーザーが何を求めてるのか、分かった上で作っていけるのでは」という。

 まずソーシャルゲームを選んだものの、「子ども向けゲームを作りながらゾンビのゲームを作ったように、コンソールをやらないというわけではなくて、新しいコンソールゲームをやりつつソーシャルゲームにチャレンジしていきたい」と、コンソールゲームへの意欲も見せていた。

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