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pixivが一連の騒動を釈明 「創作活動が快適に行える場でありたいという基本に立ち戻る」

» 2011年07月27日 19時59分 公開
[ITmedia]
photo 混沌が続く「現代アート」タグ

 イラストSNS「pixiv」を運営するピクシブは7月27日、アート団体をめぐる一連の騒動と同社への批判に対する釈明を公開した。ユーザーに謝罪した上で「創作活動が快適に行える場でありたいという基本に立ち戻り、現状の体制について深く反省する」として運営の改善を進めるという。

「カオス*ラウンジ」問題のごく簡単な経緯

photo Togetterには多数のまとめが

 一連の騒動は、アート団体「カオス*ラウンジ」のメンバーが発表した、多数のイラストを使ったコラージュによる作品が発端。同社の片桐孝憲社長が同団体とともに美術雑誌で紹介されたり、pixivが実施したイラストコンテストへの応募作品がコラージュに利用されたという報告などがあったことから、「pixivが団体に協力し、イラストの無断利用を認めているのではないか」といった批判が相次いだ。

 同団体に関連したものを使った二次創作イラストに「現代アート」というタグを付けてpixivに次々と投稿するユーザーも現れた。同団体メンバーによる“アート”の手法を逆手に取った形だが、こうした作品や投稿したユーザーが次々に削除される一方、アート団体のメンバーのアカウントはそのままだったため、削除基準が不明確だとして強い批判を浴びていた。

 pixivの運営方針に不信感を抱いた描き手も相次ぎ、老舗イラストサイト「TINAMI」や「PiXA」に活動の場を移す動きもあった。両サイトではトラフィックが急増。会員登録は25日にはTINAMIが普段の50倍に、PiXAは100倍に上ったという。

 Twitterや掲示板などでは「芸術」と「創作」とその手法、著作権、キャラクターの改変の是非、コミュニティーサイト運営など多岐にわたる議論が続いている。Twitter上での議論や経緯などはTogetterのまとめなどで参照できる。

「カオス*ラウンジの制作・展示に協力しているという事実は一切ない」

photo pixivの釈明

 同社の釈明は、(1)「カオス*ラウンジ」と同社の役員・社員と関係していたり、制作・展示に協力しているという事実は一切ない、(2)同団体メンバーのアカウントへの対応(26日に停止)が遅れたのは、権利者からの明確な連絡がなかったため、(3)コンテストのイラストの使用を同団体に許可した事実は一切ない、(4)特定のタグがついた作品・ユーザーを無作為に削除しているという事実は一切ない──など。

 同団体と同社の関係については「イベント・雑誌などで弊社と共に紹介されたことはあったが、活動には一切関わりがない」とした。

 著作権侵害については、同社の判断だけでは「その事実を明確にすることはできない」として、権利者と発信者との間で事実関係を確認した上で対応するというスタンス。このため同団体メンバーのアカウントに対する「迅速な処置を行うことが難しい状態」だったという。だが今後は「社外の専門家・ユーザーから意見をいただきながら迅速に対応できるよう改善していきたい」としている。

 同社は「ユーザー様に多大なるご心配、ご懸念を抱かせる結果となりましたことを、深く陳謝いたします」と謝罪。その上で、無断使用された作品の作者に対しては「弊社の責任を自覚し、pixiv内での対応にとどまらず、ご相談に応じたいと考えております」という。

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