「ソニーならではのXperiaを」──新社長・平井氏、モバイルを最重点に「選択と集中」
「ソニーの置かれた状況は極めて厳しい」──4月1日付けでソニーの社長兼CEOに昇格する平井一夫副社長が2月2日、都内で会見し、モバイル事業へのリソース集中やテレビ事業の再建など、新体制下での重点施策について説明した。一方で「多くの痛みを擁する判断に直面するだろうが、それに憶していては一歩も前に進めない」と不採算事業の売却・撤退も進める考えを示した。
平井氏は「一貫して目指してきたのは『ソニーらしい製品』『ソニーらしい体験』の提供であり、ソニーのサービスを使って本当に良かったと笑顔を浮かべてもらうにはどうしたらよいかを考えてきた」という。新体制では「リソースを集中領域に大胆に投入し、ネットワークなどと融合して顧客体験につなげていく」ため、「変化に向けて大きく舵を切らなければならない」と強調。「競争相手も経営環境も待ってはくれない。それを自覚し、強い意志と覚悟をもってやりとげる」と意気込む。
その上で重点施策として(1)コア事業の強化(垂直統合型のデジタルイメージング、ゲームでナンバーワン、モバイル領域へのリソース集中)、(2)テレビ事業の立て直し、(3)事業ポートフォリオ改革(コモディティ化した領域の見直し、選択と集中)、(4)イノベーションの加速(医療分野への本格展開、研究開発部門と事業部門の連携強化)──を掲げた。
モバイル分野にはリソースを大きく投下し、ゲームやデジタルビデオカメラ、電話などソニーの技術とノウハウを集めた新製品の開発を進めるという。モバイル分野でAndroid端末と独自OSによる携帯ゲーム機の2つを抱えるのは「他社にはない」。Androidでは、デジタルカメラで培った画像処理技術やイメージセンサー、動画・音楽配信などのネットワークサービスなどと組み合わせることで差別化していく考えを示した。
人気機種となった「Xperia acro」は「デザインや使い勝手など、ソニーが持てる技術力を惜しみなく投入した結果だ」として、完全子会社化した「Sony Mobile Communications」との連携強化で「ソニーらしいXperiaをこれから提供していけるのでは」という。
ゲーム事業では今月、「PlayStation Vita」を欧米で発売する。収穫期に入ったプレイステーション 3、プレイステーション・ポータブル(PSP)という3つのプラットフォームで確実に利益を稼げるようにし、モバイル事業につぎ込むリソースを確保していく。
2カ年の再建プランが進行中のテレビ事業は「ありとあらゆるコンテンツ楽しむために重要な位置を占めているテレビ事業で簡単に撤退や縮小をすると、ソニーの体験を楽しんでもらうためのリンクが1つなくなってしまう。非常に重要だと認識している」として、1月のCESで披露した次世代ディスプレイ「Crystal LED Display」の開発を含めた商品力の強化と、コストカットを進めていく考えを示した。
一方、「ソニーにはさまざまな製品があり、多大な貢献をしてきたが、コモディティ化につながる結果にもなった」と全事業について「大胆に見直し」、付加価値を生まない、他社との統合などのほうがよいと判断した事業は撤退について早期に判断するとした。
ゲーム事業出身のため「エレクトロニクスの経験が浅いのでは」と指摘されることもあるが、平井氏は「プレイステーションビジネスはエンターテインメントとくくられるのは当然だが、ゲーム事業をドライブしているのはハードウェア。一度プラットフォームを作ったら変えずにビジネスしなければならず、失敗が許されない。開発や、どうしたらユーザーに喜ばれるのかという議論、コストなど、あまり語られないハードビジネスの側面がある」と話し、ストリンガーCEOの下でVAIOなども含む領域を担当し、「エレクトロニクスビジネスの詳細、ダイナミクスは勉強したつもりだ」とした。
メディカル事業への本格的進出にからみ、ソニーがオリンパスに資本提携を持ちかけていると一部で報じられているが、「今日の時点ではコメントを差し控える」とした。
取締役会議長に退くハワード・ストリンガー現CEOは「旧来のやり方に戻るのはソニーにとって間違ったやり方であり、方向転換ではなくシフトチェンジすべきだ。平井氏は人柄、強い意志、統率力でもソニーのリーダーたるべき人物であり、ユーザーがシームレスなエンターテインメントを楽しめるようにまい進してくれるだろう」と話した。
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