「土管化は避けたい」──「ドコモクラウド」の狙いと「iPhoneは難しい」理由
NTTドコモは5月16日、スマートフォン/タブレットの夏モデルと新サービスを発表した。「GALAXY S III」や「Xperia GX」など人気シリーズの最新鋭機をそろえる一方、「ドコモクラウド」のブランドでクラウドサービスを強化。スマートフォンの急速な成長に対応しつつ、「土管化は回避する」と「総合サービス事業」への脱皮を図っていく。
発表したのはスマートフォン16機種、タブレット1機種など。スマートフォンとタブレットは全機種でAndroid 4.0を採用し、「GALAXY S III SC-06D」(Samsung Electoronics製)や「Xperia GX SO-04D」(ソニーモバイルコミュニケーションズ製)、クアッドコアプロセッサ搭載の「ARROWS X-F10D」(富士通モバイルコミュニケーションズ製)などハイスペック機のほか、3.7インチディスプレイの「Xperia SX SO-05D」から5.0インチの「ELUGA power P-07D」まで、サイズも幅広くそろえた。
新機種では画面スクロールの滑らかさを向上させたという。冬春モデルの7機種平均で25.62fpsだったのを全機種50fps以上に高める目標を掲げ、GALAXY S IIIは55.86fpsになっているという。
「ドコモクラウド」で本格展開
新端末と同時に発表した「ドコモクラウド」は、同社が展開するクラウドサービスの総称だ。開始2カ月半で累計200万ダウンロードという音声認識サービス「しゃべってコンシェル」の機能拡充に加え、メッセージを翻訳して相手に送信できる「メール翻訳コンシェル」、写真や動画を5Gバイトまで無料でクラウドに保存できる「フォトコレクション」を新たにスタート。クラウドサービスを本格展開する。
コンテンツなどを配信する「dマーケット」では、7月から「アニメストア」をオープン。運営は角川書店との合弁会社が行い、「涼宮ハルヒの憂鬱」といった角川系の作品に加え「けいおん!」「未来少年コナン」「ルパン三世 1st Series」といった角川グループ外の人気作など500タイトル・1万話を当初そろえ、月額420円で見放題になる。
配信タイトルは旧作がメインだが、新会社が新規タイトルの製作委員会に出資し、新作を配信していくといった取り組みも検討。スマートフォン向け放送局「NOTTV」とアニメコンテンツで連動して会員を増やすといった相乗効果も狙う。開始後1~2年で100万契約を目標に掲げている。
「iPhoneは難しい」理由
ドコモは通信事業者から「総合サービス業」への脱皮を掲げており、ドコモクラウドは同社がサービス事業に力を入れていくことの表れだ。山田社長は4月の決算説明会で「2020年くらいを考えると、その時まで通信料収入が伸びていくというのは難しいだろう。キャリアビジネスがそう長く繁栄するとは思っていない」と述べ、サービス事業に注力していく方針を明らかにしていた。
ドコモが自ら手がける「dマーケット」関連サービスは「ドコモ直営なので全部収入として入ってくる」というメリットがある。月額520円の「VIDEOストア」は会員が120万程度に上っており、既に年間60億円以上を稼ぎ出すサービスに育っている計算だ。
「通信事業者としては土管化を回避したい」。6月に退任する山田社長は、発表会でドコモクラウドについてこう説明した。単にデータトラフィックを輸送する「土管」と化すのではなく、高品質なネットワークに多彩なクラウドサービスで付加価値を付け、「ドコモのお客はドコモの中で全部そろう」(山田社長)という囲い込みを図っていく狙いだ。
山田社長が米AppleのiPhone導入について「現状では難しい」という説明を繰り返しているのは、通信事業者による柔軟な変更を基本的に認めないAppleの方針とドコモの戦略が相容れないためだ。この日も「ネットワークにインテリジェンスを加え、どのスマートフォンでも同じサービスが利用できるようにしたい。そう考えると、オープンOSのAndroidを中心にしていきたい。今の環境ではiPhone導入は難しいのでは」とした。次期社長の加藤薫常務も同様の見解を示している。
一方、Windows Phoneは冬モデル以降の導入を検討しているという。
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