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ネット選挙運動解禁への課題は“国民の無関心”?――与野党議員と津田大介さんら議論(1/3 ページ)

» 2012年05月25日 11時00分 公開
[本宮学,ITmedia]
photo 公明党の遠山清彦衆院議員、みんなの党の松田公太参院議員、自民党の世耕弘成参院議員、民主党の石井登志郎衆院議員、民主党の鈴木寛参院議員、社民党首の福島瑞穂参院議員、共産党の井上哲士参院議員(左から)

 ネットを活用した選挙活動の解禁に向け、与野党の国会議員やメディアアクティビストの津田大介さんが現状の課題や今後の取り組みについて議論するイベントが5月23日、東京・永田町の衆議院第一議員会館で開かれた。2010年に不成立となったネット選挙解禁法案などが焦点となり、議員から「一度は各党で合意しているのだから、前回合意したところまでは実現すべき」といった声が上がっていた。

 同会は、ネット選挙活動解禁に向け著名ブロガーやネット企業関係者らが立ち上げたキャンペーン「One Voice Campaign」の一環として開催。賛同する民主、自民など各党の国会議員7人も出席した。TwitterやFacebookなどが普及した現在ならではの懸念点についても議論され、ライブ配信したニコニコ生放送には合計約1万6500人が来場した。

誰が悪くて進まないのか

photo 進行役を務めた津田大介さん

 現時点で、ネットを使った候補者の選挙活動は公職選挙法により禁じられている。民主党は2005年に総選挙の政権公約に「ネット選挙活動解禁」を入れるなど、ネット選挙活動解禁に向けた運動を1990年代後半から実施してきたという。

 2010年には民主党が政権を獲得。候補者本人と政党のWebサイト更新のみを許可する一部解禁法案が審議入りになったものの、鳩山由紀夫首相(当時)の退陣表明によって法案が不成立となり、現在に至っている。

 「(自民党内では)誹謗中傷を不安視してネットを使わない人が多かった」と話すのは、自民党の世耕(せこう)弘成参院議員。自民党政権時代は党内でネット選挙に消極的な議員が多かったものの、野党になってからは「ネット選挙に後ろ向きな人が多いから野党になった」という“殺し文句”により、賛同者が増えつつあるという。

photo 世耕議員

 だが「民主党は解禁の方向で動いてきたから与野党で一致するかと思いきや、与党になったとたんに民主党が消極的になってしまった」と世耕議員は指摘する。

 進行役を務めた津田さんが「結局、誰が悪くて誰が反対しているから進まないのか」と疑問を投げかけると、世耕議員は「誰が反対しているというわけでなく、なんとなく進まない」とし、議員1人1人のネット選挙に対する賛否の立場を明らかにする必要性を訴えた。

photo 遠山議員

 公明党の遠山清彦衆院議員は「前向きにこの問題を見ると、10年に全党派が一致して『やろう』という流れができた。1回合意しているわけなので、前回合意したことに異論がないことを確認して、民主党執行部が2つの決断をすれば(ネット選挙活動を解禁)できる」と話す。

 決断の1つ目は、10年時点で現在ほど普及していなかったFacebookやTwitterなどを踏まえつつ、10年時点で与野党が合意したところまで解禁を実現するということ。もう1つは、現在公選法の改正案でつまづいている「1票の格差」や議員定数などの問題と、ネット解禁とは議論を切り離し、ネット解禁を先に進めることだという。

photo 鈴木議員

 民主党の鈴木寛参院議員も「ポイントは(1票の格差の問題とネット選挙問題を)切り離すことを与野党で握ること」と話す。だが鈴木議員によれば、公選法の改正案の審議に当たっては「現在問題になっている議員定数や1票の格差の話など、そういうところをちゃんとやってきたかを(野党に)責められるため、同時にやっていく必要がある」というのが現状という。

 遠山議員は「1票の格差や議員定数の話は与野党で合意を取れていないが、ネット選挙では合意している。だから優先順位を上げてやっていく必要があるのでは」と指摘する。

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