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ネット選挙運動解禁への課題は“国民の無関心”?――与野党議員と津田大介さんら議論(2/3 ページ)

» 2012年05月25日 11時00分 公開
[本宮学,ITmedia]

「マスメディアや世論で決まれば議員も動く」

photo 石井議員

 「政局などの話でなく、結局誰が反対しているのか」という津田さんの問いに対して、民主党の石井登志郎衆院議員は「ローテクの老人議員などは“なんとなくネット選挙が嫌”というスタンスだが、本当に嫌がっているのは、自分に対するネット上の書き込みを見てふさぎこんでしまう人」と指摘。

 「さまざまなネットメディアに対して私を含めた政治家が思っているのは、人の意地悪な部分がネットで出ているのではということ。(ネット選挙運動解禁に向けた)前向きなエネルギーをネットでもっと前向きにつなげていってほしい」(石井議員)

 一方、鈴木議員は「国対議論が嫌だというのは仕方ないが、国会で決めるべき優先順位が(ネット解禁が)ナンバーワンだということがマスメディアや世論で決まれば議員も動く」と指摘する。

ネット選挙解禁の「優先順位が下がっている」

photo 福島議員

 社民党首の福島瑞穂参院議員が「一度は与野党で一致したということが重要なので、現在の実情と合わない部分はあるが、それを出発点としてやっていく必要がある」と指摘すると、「あそこまで行きながら、超党派で集まったことは一度もない」と共産党の井上哲士参院議員。

 「(ネット選挙活動解禁の)優先順位がわれわれの中で下がってしまっていた。国政選挙も先だということもあり、下がってきたのは事実だと思う。また、国民の声も債務の問題などについては届くが、ネット解禁関連ではダウンしてしまっている」(井上議員)

候補者への中傷にどう対処すべきか

photo 井上議員

 候補者がネット上で不特定多数の前で中傷された時にどう対処すべきかという課題もあると遠山議員は指摘する。「後から裁判を起こすことはできても、その前に選挙は終わってしまう」

 掲示板サイトなどで誹謗中傷を受けたり、プライバシー侵害の書き込みあった場合にISPやサイト運営者が削除できる「プロバイダ責任制限法」が02年に施行している。同法ではサイト運営者が投稿者に削除を要請してから7日間応答がなかった場合に投稿を削除できるが、世耕議員は「7日間は選挙では長すぎるので、2日間に圧縮するという案を出している」と話す。

 普及が進むFacebookも候補者が中傷を受ける場になるかもしれない。だが“Facebook市政”で知られる佐賀県武雄市の樋渡啓祐市長と交流があるという遠山議員は「FacebookはTwitter以上に実名ベースだし、ユーザーは自分の写真などもアップしているので、そこで中傷活動をするのは自分を犠牲にしないといけない」と楽観視する。

 津田さんが「Twitterの利用などがどの程度許されるかというラインは大事だと思う。スタートラインとして始まったとして、そこから制限が緩くなっていくかが疑問」と指摘すると、遠山議員は「緩くなっていくと思う。Facebookなどで政治家が発信するのは自由。ただ、特定の政治家を落選させるための活動に対してどうするのかが問題。普段のネットでの活動は自由なので、それをわざわざ法律に書くかどうかも議論が必要」と応じた。

 また鈴木議員は「(ネット上では)基本自由で、どうしてもやってはいけないことだけを指定して制限するという形に、公選法自体を変えていく必要があるのでは」と、規制を必要なものだけに限る方向性を提案する。

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