台湾Acerが9月13日(現地時間)に予定していた「Aliyun OS」搭載の新スマートフォン発表イベントを突然中止したのは米Googleからの圧力によるものという報道が流れる中、米Googleが15日、Acerの新端末発表に反対したことを認め、理由を説明した。
事の起こりは、Acerが中国Alibabaが開発したモバイルOS「Aliyun OS」搭載の新スマートフォンを発表する会見を13日に予定していたものを、突然中止したことだ。Dow Jonesによると、AcerはGoogleがこの発表に懸念を表明したため急きょ中止したという。この記事によると、Acerは公式には中止の理由を明らかにしていないが、Alibabaが「GoogleがAcerに対し、発表する端末がAliyun OSを搭載するのであれば、Android関連の協力関係を打ち切ると通告した。われわれはGoogleの行動を残念に思う」と語った。
米Wall Street Journalによると、Googleは15日に発表した声明文で、Acerの新端末に反対したのは、Aliyun OSがAndroidの“非互換”バージョンだからと説明した。「Android端末メーカーの1社として、AcerはAndroid非互換端末を出荷すべきではない」という。
また、GoogleでAndroidの開発を統括するアンディ・ルービン上級副社長は15日に自身のGoogle+で、Alibabaのゼン・ミンCSO(最高戦略責任者)が10日に中国Sohu ITのインタビューで「Alibabaは中国のAndroidになりたい」と語ったことに触れ、「Aliyun OSは実際にAndroidのランタイムをベースにしており、Androidの派生だが、Androidとは非互換だ」と述べた。同氏は公式ブログでAndroidエコシステムにおける互換性の重要性を説明しており、Google+の投稿からこのブログにリンクを張っている。
Alibabaが言う「Android関連の協力関係」とは、Googleが2007年にAndroidの発表と同時に立ち上げたアライアンス「Open Handset Alliance(OHA)」のことだ。AcerもメンバーであるこのOHAはAndroidの開発・推進を目的としたもので、メンバーはさまざまな恩恵を受けられるが、“Androidの互換性”を守ることを求められる。
ルービン氏は公式ブログで、Androidの互換性が守られないことで端末によってアプリがうまく稼働しないことになれば、消費者はAndroidエコシステムを離れ、アプリ開発者がそれに続き、エコシステムは終えんを迎えると説明する。
AndroidのソースコードはApache License Version 2.0で公開されたオープンソースであり、改変も自由だ。従って、Aliyun OS自体にも、そのOSを搭載した端末を発売することにも問題はないが、Androidの非互換性を助長するのであれば、OHAから外れるように、というのがGoogleの言い分だ。
なお、Androidのフラグメンテーション(断片化:複数のバージョンのOSを搭載したAndroid端末が市場に混在している状態)によって、Googleの公式アプリストアGoogle Playで公開されているアプリでも、現行の全Android端末で稼働するとは限らないことにはルービン氏は触れていない。例えばGoogleがGoogle Playで公開している「Chrome for Android」は、Android 4.0(コードネーム:Ice Cream Sandwich」以降にしか対応しない。Googleによると、現行端末のOSで最も多いのは3世代前のAndroid 2.3(コードネーム:Gingerbread)だ。
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