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「補償金制度が機能しないのは異常事態」──権利者団体が声明、「ユーザーと権利者の利益調整に取り組む」

» 2013年04月01日 19時33分 公開
[ITmedia]

 「Culture First」を掲げる権利者側の86団体は4月1日、「録音録画補償金制度がほぼ機能しないという、極めて異常な事態を迎えている」とし、補償金制度が担っていた「ユーザーの利便性とクリエイターの保護を調整する仕組み」を修復すべく、「強い仕組みで取り組む」という内容の声明を公表した。新たな制度設計の可能性も視野に、関係省庁などに協議を呼びかけている。

 録音録画補償金は、著作物のデジタルコピーで権利者に生じた損害を補償する目的で、MDやCD-R、DVDレコーダーなど複製に使用される機器・メディアに課金。メーカーが機器やメディアの価格に上乗せして徴収し、私的録画補償金管理協会(SARVH)などを通じて権利者に支払っている。

 2009年、メーカー側は、DRM(ダビング10)が導入されているデジタル放送専用レコーダーは、課金対象か不明確だという見解のもと、録画補償金支払いを拒否。録画補償金を支払わなかった東芝に対してSARVHが賠償を求めた訴訟では昨年11月、最高裁がSARVHの上告を棄却し、東芝の勝訴が確定した。

 86団体はプレスリリースで、「最高裁から示されたのは、私的録画補償金に関する現行法令の解釈にすぎず、私的録音録画補償金制度そのものが否定されたわけではない」と主張。「制度の今後の在り方については、関係行政庁を含む当事者間の協議に委ねられた」とみる。

 補償金は、「クリエーター、メーカー、ユーザーの三者の利益を調整する役割を担ってきた」とし、「ユーザーが音楽や動画に親しむ手段はますます便利になり、それらの手段を提供するメーカーは売り上げを伸ばしていくだろうが、クリエーターへの補償の仕組みは機能不全のまま」と指摘。今後は、新たな制度設計の可能性も含め、三者の利益調整の仕組みを修復すべく、「新たな強い気持ちで取り組む」としている。

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